富山の老舗百貨店「大和高岡店」、8月25日で76年の歴史に幕

2019年4月15日 17:50

印刷

 北陸地方で百貨店を展開する大和は、富山県高岡市御旅屋町の高岡店を8月25日で閉店する。周辺の商業施設との競争激化などで売り上げが低迷し、収益改善が困難と判断したためで、75年の歴史に幕を下ろす。大和は経営資源を旗艦店である石川県金沢市香林坊の香林坊店、富山県富山市総曲輪の富山店に集中し、業績の改善を目指す。

【こちらも】甲府の山交百貨店、9月末閉店で半世紀の歴史に幕

 高岡店は太平洋戦争中の1943年に開店し、1994年に現在の複合商業施設「御旅屋セリオ」にキーテナントとして移転、入居した。売り場面積は約1万6,000平方メートル。売上高はピークの1997年2月期で131億円あったものの、14年連続の減収で2019年2月期は39億円まで落ち込んだ。

 経費削減や商品の見直し、富山店との外商営業一体化など経営努力を続けてきたが、3期連続で赤字となった。10月の消費税増税を控え、システムへの投資が必要になることから、閉店を決断したという。大和は2019年2月期に49億円の特別損失を計上、連結最終損益の赤字額が47億円に膨らんで5期ぶりの無配になる。

 従業員59人は他店舗へ配置転換する。閉店後は高岡市内に「高岡サテライトショップ」を設け、身近な商品を中心に扱うとともに、外商も継続する。御旅屋セリオの高岡店跡の利用方法は決まっていない。

 地方都市の百貨店は人口減少や若者の百貨店離れ、インターネット通販の攻勢、郊外型ショッピングセンターとの競争激化などから、多くが苦境に立たされている。大和も例外でなく、長く石川、富山、新潟の3県で計7店舗を展開していたが、2010年に新潟県上越市の上越店、長岡市の長岡店、新潟市の新潟店、石川県小松市の小松店を閉店し、経営の立て直しを図っていた。

 ただ、旗艦店の香林坊店は北陸新幹線の開業効果が続き、訪日外国人観光客の増加で2019年2月期に21年ぶりとなる増収を確保した。その結果大和の連結売上高は、456億円と12年ぶりの増収になっている。今後は香林坊店と富山店の主力店2店体制で巻き返しを図る方針だ。(記事:高田泰・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事