音楽に鎮痛作用があることが判明 ユタ大学の研究

2019年4月1日 16:11

印刷

●音楽を聴くことで薬の投与量を減らすことができる可能性

 音楽にリラックス効果があることは、すでによく知られた事実である。アメリカのユタ大学が科学誌『Frontiers in Neurology』に発表した研究では、音楽はさらに鎮痛作用もある可能性が高いことが報告された。

【こちらも】改めて知る「音楽」の効果 USENとカラオケの新市場開拓から考察

 この研究はまだ動物実験の段階ではあるが、音楽を聴くことで薬の投与量を減らしても鎮痛の効果があることが明らかになったという。

●炎症による痛みと外科的な痛み

 マウスで行った実験は、炎症による痛みと外科的な痛みの2種類を対象に、イブプロフェン、カンナビノイド、ガラニン、レベチラセタムに音楽を併用する形で実施された。それぞれの薬剤は、通常よりも低用量で実験は行われた。

●効果が顕著であったモーツァルトの楽曲

 その結果、最も音楽の効果が顕著に表れたのはイブプロフェンとモーツァルトの組み合わせである。この場合、炎症による痛みはイブプロフェンのみを用いた鎮痛効果と比較すると93%も減少した。カンナビノイドとガラニンを音楽と組み合わせると、炎症による痛みは70%、また外科的な痛みは音楽のみで77%減少したという。

 研究者の1人は、鎮痛剤は音楽がなくても当然効果があるが、副作用や依存性を考慮すると音楽と組み合わせることで処方量を減らすことができるのは大変なメリットであると語っている。

●特定のリズムとシーケンスが神経を刺激

 研究チームでは、音楽の持つ特定のリズムとシーケンスが副交感神経系と視床下部・下垂体・副腎系を刺激することによって、痛みを軽減する反応を起こすのではと推測している。

 過去の研究では、音楽がてんかんに関連する発作を減らす効果があることが判明している。今回のユタ大学による研究結果が人体でも確認されれば、将来的には鎮痛のために音楽を聴くことが医師により処方されることも起こりうることになる。

関連記事