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大和ハウス、中国関連会社で不正行為発覚 200億円超が不正流用か
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大和ハウス工業【1925】は13日、中国大連市にある関連会社の従業員が、経理に関する不正を行っていた疑いがあることを発表した。関連会社の会計の不一致が分かり調査したところ、不正な資金引出しと、資金引出しに関わった疑いのある従業員が判明。同社は刑事告訴を含めた手続きを開始し、全容解明を急ぐとした。資金の回収ができなかった場合、100億円以上の経常損失が出る可能性があると発表している。
大和ハウス工業は大阪市北区に本社を置く総合住宅メーカーの大手。創業は1955年。現在は世界20カ国に317のグループ会社(2018年3月時点)を有し、前期末グループ売上高は3兆7,959億円に達する。
不正が判明した関連会社の名称は「大連大和中盛房地産有限公司」。大和ハウス工業が83.65%を、中国の大連中盛集団有限公司が16.35%を出資して2005年に設立した合弁会社であり、中国にて住宅の開発及び販売を行っている。
事件の概要は、12日に大連大和中盛房地産の経理担当者から預金残高と帳簿に不一致があるという報告を受け調査をした結果、資金の不正な引出しがあったことが判明したもの。これまでに判明している預金残高と帳簿の差額は、14.15億元(約234億円)という。
資金引出しに関与したのは、合弁先の大連中盛集団から派遣されていた取締役2名と出納担当者1名の計3名。彼らに対して大和ハウスは中国の捜査当局に業務上横領などの疑いがあるとして刑事告訴する手配を行うとしており、捜査当局と共に事件の全容解明に努める方針だ。
大和ハウスでは、今回の不正の温床として業務執行を合弁先である現地の企業に依存し過ぎていたことを挙げた。それをふまえた不正防止策として「第三者委員会」を設置し、不正の全容解明と再発防止策を策定する。海外のグループ会社に対するリスクマネジメントを強化するために、法務部との連絡体制も強化するとした。
業績への影響に関しては、預金と帳簿の差額の全てが不正流用でかつ回収不能の場合、約117億円の持分法投資損失(経常損失)を計上する見込みがあるとした。同社から2月8日に発表された第3四半期決算での期末業績予想では、経常利益は3,540億円(前年比2.1%増)であため、今回の損失が計上された場合、経常利益において3%程度の下方修正が予想される。また純利益に関しても前期に比べ減益になる可能性も出てきた。(記事:福井廉太・記事一覧を見る)
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