NYの視点:トランプ米大統領は再びドル高や金利高でFRB批判、市場への影響は限定的との見方

2019年3月5日 07:35

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記事提供元:フィスコ


*07:35JST NYの視点:トランプ米大統領は再びドル高や金利高でFRB批判、市場への影響は限定的との見方
トランプ米大統領は週末にメリーランドで開催された保守政治活動会議(CPAC)のラリーで、ドル高や米国の金利上昇、量的引き締めを導いたとして米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を再び批判した。「ドルが高すぎる」として、ドル安誘導に努めた。トランプ大統領は、米国経済に有益に働く理に適う「強いドル」が望ましく、米国の企業が他国と取引ができなくなりビジネスチャンスを奪われる「強すぎるドル」は望まないと訴えた。

現在、米国は中国や欧州との貿易協議の真っただ中。中国との貿易協定には為替に関して、競争的な通貨切り下げを回避する条件も含まれているという。一方で、米国政府がドル安政策を進めるとは考えにくい。さらに、2020年の大統領選挙選を見据えた保守党ベースに向けた演説で、トランプ大統領の発言は政治色が強く、市場への影響は「限定的」と、投資家は見ている。万が一、米国経済の回復が中断すようなことになったり、金融市場に混乱がもたらされた場合、その責任をFRBに担ってもらう策略だと分析している。

FOMCは米国経済の緩やかな成長に伴い金融危機を脱するために実施した異例な金融緩和策の解除を継続してきた。2019年に入り経済の成長ペース減速見通しにともないFOMCは利上げを見送り、バイアスをなくす慎重な政策に転じた。しかし、他国の経済の成長も米国以上に減速ペースを加速しているため、欧州中央銀行(ECB)など各国中央銀行の利上げが遅れるとの見通しがドルを押し上げる理由となっている。《CS》

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