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東京海上HDの「データサイエンティスト」育成の本気度
東京海上ホールディングス(以下、東京海上HD)が、自前でデータサイエンティストの育成を宣言した。2018年度中にトライアル運用を完了し、19年度から正式な育成プログラム(Data Science Hill Climb)として運用を開始するという。
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データサイエンティスト。いささか聞きなれない言葉だが、日本大百科全書はこう定義づけている。「さまざまな課題の解決や展望を予測するため、膨大に蓄積されているビッグデータの内容やその分布を調べ、特定の傾向や性質に基づいた解析によって適切な解決方法を提示・評価する職業」。
周知の通りAI(人工知能)の導入が多分野で始まっている。つれてAIの活用に不可欠な人材の争奪戦が過熱化している。そこで東京海上HDでは人材(データサイエンティスト)の育成を自前で開始するというのだ。現在の数人体制を5年以内に10倍以上に増やす計画。
データサイエンティストという職業(存在)自体は、認識が浅い。急浮上したのは12年の米国大統領選挙だった。統計学の専門家のシルバー氏が、全米50州の選挙結果を予測し全て的中させたことで認知度が上がった。
東京海上HDの育成プログラムはAI研究の第一人者として知られる、東京大学の松尾豊特任准教授の監修による。東京海上HDではその内容を具体的にこう説明している。「確率統計や線形代数といった基礎数学から、AI・機械学習モデルの理論的背景の理解、それらのプログラミングによる実装、さらに実際のビジネスでの活用のための実践的演習までを延べ200時間以上のカリキュラムにより、データサイエンティストを基礎から体系的に養成していく」。
損保業界ではドライブレコーダーやAIを活用し契約者の運転の仕方や事故状況を分析し、保険料や事故時の過失を判定するビジネスの開発が始まっている。が、活用できるIT技術者が不足(=前記の通り争奪戦状況が起こっている)している。経産省の試算では「20年には先端IT人材が4万8000人不足する」という。
三井住友海上やニッセイ同和でも大学と連携し、データサイエンティストの育成に取り組み始めている。だが「自前で育成」という点に、東京海上HDの業界トップとしての本気度が窺える。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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