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宇宙ベンチャーALE、JAXAと共に宇宙デブリ拡散防止装置の開発を開始
導電性テザー(EDT)のイメージ。(画像: ALEの発表資料より)[写真拡大]
民間宇宙ベンチャーのALE(エール)は2月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とのパートナーシップ契約を通じて、導電性テザー(EDT:Electrodynamic Tether)を使った装置の開発に着手したことを発表。装置活用事業の実装に向けコンセプト共創活動を開始し、宇宙デブリの拡散防止を通じてサスティナブルな宇宙開発に貢献する。
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この取り組みは、JAXAとの共創型研究開発プログラム「宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の一環。今回開発を行うEDTは、長いひもを宇宙空間に展開することで、地場を利用して人工衛星の軌道を変更する軽量な装置。これを人工衛星に搭載すると、ミッション終了後の軌道離脱を防ぎ、これらの衛星のデブリ化を防止する。仮に電気系統が故障しても、地球磁場を利用するため支障は無い。小型ロケット打ち上げ時にも、打ち上げ後の軌道上残存物を減らすことが可能だ。
活発な宇宙開発が進む昨今は、宇宙空間に残存する飛行物体の単純なデブリ化だけではなく、物体同士が衝突して宇宙デブリが自己増殖する「ケスラーシンドローム」が近い将来に起こり得るとされている。近年の人工衛星の小型化、コストの低下などにより今後の打ち上げ頻度も高くなることが予測され、宇宙デブリ問題はますます深刻化する。このような課題解決の一助として期待されているのが、EDT方式の装置だ。
今回の共創にあたっての役割分担は、ALE側が神奈川工科大学の協力を得て、EDT展開機械の試作及び展開実験を行いながら、EDTの事業性検討や実証装置の仕様検討を行う。一方のJAXAは、これまでの知見に基づく技術検討や、EDTの挙動解析及び軌道解析を行う。ALEにとっては、そもそもEDTに関する豊富な研究実績と知見を有するJAXAの協力を得ることで、事業の早期実現が可能になるとしている。
ALEは、「科学を社会につなぎ宇宙を文化圏にする」というミッションのもとに、特に宇宙デブリ拡散防止と衛星寿命長期化という事業に注力し、サステイナブルな宇宙開発に向けた取り組みを行うベンチャー。この小型軽量EDTによる装置の実現がかなえば、デブリの拡散防止だけではなく、小型衛星を投入する一般的な高度500km~900kmについてもさらに下げることができ、その活用のポテンシャルが拡がる。同社では、今回の提携によるEDT装置の開発で、宇宙産業の発展を加速させたいとしている。
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