キレート剤系列の新素材使い海水からウランを効率的に回収する技術開発

2019年3月1日 23:53

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward曰く、 海水には約40億トンのウランが含まれている。これは、何世紀にもわたり世界の原子力産業に燃料を供給するのに十分な量だ。しかし、海水中のウランの濃度は約3ppbと非常に低く、それを抽出することは難しい。日本でも海水からのウラン抽出方法が研究されており(日本原子力研究開発機構による海水ウラン回収技術の現状と展望PDF)、アミドキシム系の捕集材を使うことで過酷な海洋条件下でも確実にウランを吸収できることを見つけている。しかし、アミドキシム捕集材はウランよりもバナジウムに対する親和性が高く、吸着後に二つを分離する必要があり、そのコストから実用化には至っていない。しかし、最近になってその解決策が見えてきたという。

 米オークリッジ国立研究所のAlexander S. Ivanov氏らのチームは、新たな捕集材を計算によって導き出した。その物質は金属イオン封鎖剤によく似たるトリアジン・キレート剤で、チームは低コストの試薬から始め「H2 BHT」という形で官能基化し、吸着剤としての性能を分析した。その結果、H2BHTはバナジウム対する親和性は低いが、アミドキシムと同等のウラニルイオンに対する親和性を持つという。リサイクルするのが難しいアミドキシム捕集材とは異なり、新しい捕集材は炭酸塩溶液で再生して再利用することができるとしている(C&EN、、Slashdot)。

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