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【どう見るこの相場】「政策に売りなし」か?重要イベント先取りで人材関連の2セクター株の独自人気にトライも一法
前週末15日、米国市場のダウ工業株30種平均(NYダウ)は、443ドル高と急反発し昨年11月9日以来、約3カ月ぶりの高値をつけた。15日まで北京で続けられていた米中貿易協議が、今週もワシントンで継続して開催されることが決まり、米中合意の可能性が高まったことが買い手掛かりとなった。やれやれである。週末の日経平均株価の239円安で高まっていた様子見ムードを振り戻してくれそうだ。週明けは、まずは中国関連株などを中心に追随買いで上値を試すことになる。このところ独自材料が払底しとみに強まっている米国市場のコピー相場が、一段と盛り上がるかもしれない。ただ、一つ気掛かりなことがある。前週末にトランプ大統領が、「国境の壁」建設のために非常事態宣言に署名し、憲法違反の法廷闘争に発展し政権運営への不透明感につながり兼ねず、これがまだNYダウの443ドル高に織り込まれていないフシがあることだ。
しかも、週明け18日の米国市場は、プレジデント・デーのために休場である。ということは、東京市場に参加する海外投資家も減少して、東京市場は、世界市場に先駆けてトランプ大統領の非常事態宣言を自ら消化しなければならないことになる。さらに先行きでも不測事態が待ち構えている。仮に米中貿易協議が合意したとすれば、次は日本と米国の間で物品貿易協定(TAG)の協議が本格化する。ここでトランプ大統領の発言通りに安倍晋三首相が、トランプ大統領をノーベル平和賞の候補に推薦した甲斐もなく、為替条項が協議の対象となれば、円高・ドル安を迫られることになる。株価は、今度は、「政策に買いなし」となってNYダウ上昇・日経平均株価急落の逆相関、逆コピー相場を心配もしなくてはならないことになる。
期待9割、不安1割の週明けも懸念されるが、そこで当コラムでは、米国市場に振り回されず、東京市場で数少ない独自材料で動意が期待される銘柄に「政策に売りなし」となるか注目してみた。いずれもこの3月末、4月1日に政策関連の重要イベントを控えている2つセクター株である。第1は障害者雇用促進法関連株、第2は外国人労働者受け入れ拡大関連株で、重要イベントに向けマスコミへの露出度が高まり、株価へのインパクトも小さくないと予想され、イベント先取りにトライしてみたい。
■障害者雇用促進関連株は5~6割高した昨年の第1ステージの再現が有力
障害者雇用促進法関連株の株価は、昨年8月に中央省庁での雇用率の水増し問題が相次いで明らかになったことで第1ステージの人気化相場を示現した。この時、事態の沈静化に向け人事院が発表した中央省庁での障害者に限定した統一採用試験は、今年2月3日に全国9カ所で第1次試験(筆記試験)が実施され、2月22日の試験通過者発表、2月27日からの各省庁での第2次試験(面接試験)を経て、3月22日に合格者が発表されるスケジュールにある。同法の法定雇用率(民間企業)は、昨年4月にそれまでの2.0%が2.2%に引き上げられ、2020年4月からはさらに2.3%に引き上げられる予定で、「働き方改革実行計画」では、2020年度までに雇用者数を2016年度の47万4000人から1.5倍以上とする実行計画指標を掲げている。このため、今年3月24日には障害者のための就職・転職フェアが開催されるなどの動きもあって大手企業が参加しており、ビジネスチャンスが増加方向にある。
関連株のなかでこうした事業環境好転に最も早く大きく反応したのは、障害者専用の農場を貸し出す障害者雇用支援サービスを展開しているエスプール<2471>(JQS)である。昨年8月安値から10月の昨年来高値2029円まで5割高し、いったん1354円安値まで往って来いの調整となったが、今年1月の前2018年11月期業績の上方修正で2010円の戻り高値をつけ、足元では25日移動平均線水準での三角保ち合いを続け、2月12日には2月19日付けでの東証第2部への市場変更承認を発表している。
LITALICO<6187>(東1)も、障害者支援のLITALICOワークス事業が、全売り上げの47%を占め、昨年は、10月の昨年来高値2806円までやはり5割超高しており、今年2月14日に発表した今2019年3月期第3四半期(3Q)業績は、3月通期予想をオーバーする高利益進捗率を示した。また障害福祉サービス事業の就労支援センターを全国に70カ所展開しているウェルビー<6556>(東マ)も、昨年9月の昨年来高値2385円へ短期6割高しており、今年2月13日に開示した3Q業績は今2019年3月期通期予想業績に対して高利益進捗した。このほか子会社が障害者向けの求人・求職サービスを展開するパーソルホールディングス<2181>(東1)、前記の3月24日開催の就職・転職フェアに参加のディップ<2379>(東1)、リクルートホールディングス<6098>(東1)なども関連人気を高めよう。
■外国人労働者受け入れ関連株は運用方針の閣議決定をテコに昨年来安値から底上げ途上
一方、外国人労働者の受け入れ拡大は、昨年12月8日に改正入国管理法が可決成立し、12月25日に分野別運用方針が閣議決定され、今年4月1日に施行され本番を迎える。在留資格は特定技能を1号と2号の2段階に設定、分野別運用方針では、労働力不足が著しい農業、介護などの14業種に5年間で最大35万5150人の1号の外国人労働者を受け入れる。関連株の株価は、昨年6月の外国人材受け入れを盛り込んだ骨太の方針の閣議決定では高値反応したものの、11月2日の改正入管法の閣議決定、12月8日の同法の可決成立では限定的な反応にとどまり、分野別運用方針の閣議決定をテコに昨年来安値水準から底上げに転じた銘柄が多い。
IT分野の外国人材の採用や日本語学校を運営のヒューマンホールディングス<2415>(JQS)、建設分野に強みを持ち日本語教育も強化の夢真ホールディングス<2362>(JQS)、農業・介護分野に外国人労働者を派遣するアルプス技研<4641>(東1)、韓国、台湾の外国人技術者を積極採用のテクノプロ・ホールディングス<6028>(東1)、介護ビジネスで外国人技能実習生の管理業務を手掛けるウィルグループ<6089>(東1)などが関連株として浮上する。また今年2月8日に外国人技能実習関連業務の先行投資コスト負担などから今2019年3月期業績を下方修正したnmsホールディングス<2162>(JQS)は、同時発表の中期経営計画で3年間で3倍に成長させる目標値を掲げて逆行高しており、低位値ごろ妙味も加わって昨年12月25日につけた昨年来安値からの一段の底上げを試すことになりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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