スズキ、安全・安心で小さなクルマ戦略により営業利益率大幅改善

2018年12月16日 21:14

印刷

(c) 123rf

(c) 123rf[写真拡大]

 スズキは12月13日、軽乗用車「アルト」、「アルトワークス」の予防安全技術の機能を充実させて発売すると発表した。

【こちらも】スズキ・ジムニー、オフローダーの証(1) 「3アングル」スタイリングから見える走破性

 単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキ「ヂュアルセンサーブレーキサポート」を採用、あわせて誤発進抑制機能、リヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーで後退時の衝突回避または被害軽減を図る「後退時ブレーキサポート」の採用など、安全装置を大幅に充実させた。

 スズキは1909年に鈴木道夫によって鈴木式織機製作所として創業され、1920年、鈴木式織機株式会社として法人化された。1952年、オートバイ開発に着手し、1954年、鈴木自動車工業株式会社に改称したのを機会に、四輪自動車分野に本格進出を果たした。

 1990年、現在の社名に改称し、「小さなクルマ、大きな未来」をスローガンに価値ある製品づくりを目指して、売上高3兆7千億円をこえ、四輪自動車比率91%と大きく飛躍してきたスズキの動きを見ていこう。

■前期(2018年3月期)実績と今期見通し
 前期売上高は3兆7,572億円(前年比19%増)、営業利益は前年よりも1,075億円増の3,742億円(同40%増)であった。

 営業利益増加の要因としては、売上増加などにより1,030億円、海外比率70%の中円安(1ルピー1.6円->1.7円、1ユーロ119円->130円、1ドル108円->111円)により為替差益383億円、原価低減により266億円、減価償却費の減により125億円など1,804億円の増益要因に対し、諸経費の増加により650億円、研究開発費の増79億円による729億円の減益要因によるものである。

 今期第2四半期売上高1兆9,294億円(同5%増)、営業利益1,985億円(同15%増)と好調な実績を受けて、今期見通しは売上高3兆8,000億円(同1%増)、営業利益は100億円上方修正の3,500億円(同7%減)で営業利益率9.2%を見込んでいる。

■中期計画(2015年3月期~2019年3月期)による推進戦略
 2015年に売上高3兆1,805億円、営業利益率6.1%実績の中、計画最終年度(今期)売上高3兆7,000億円、営業利益率7.0%目標で中期計画を立て、下記の推進戦略の結果、今期見通しはいずれも上方修正となっている。

 1.四輪車商品開発の効率化

 ・乗用車プラットフォームの集約: 新規開発は、軽、A、Bの3種類の新軽量プラットフォームに集約し、モジュール化戦略により機能部品を共有化。
 ・ガソリンエンジンの開発集中: 660CCから1,400CCの小型に絞り効率的な技術開発。
 ・小さなクルマでの「安全安心」の追求: ブレーキサポートシステムの高性能化など予防安全運転支援とスマホ連携ナビなど情報通信技術開発。
 ・グローバル視野の開発: エンジン技術、モーター機能付発電システム、カーナビなどとの車の総合管理など新興国ニーズも踏まえた技術開発。

 2.四輪車の地域戦略

 ・日本: 軽自動車シェア30%以上、小型車10万台以上確保を目指して、継続的に軽自動車と小型車の新型車を投入し、直販力強化、代理店拠点の拡充強化。
 ・インド: 乗用車シェア45%以上確保を目指して、商品、販売網、生産力を拡充。
 ・アセアン: インドネシアとタイをアセアン内外への生産拠点として、日本、インドに次ぐ柱として育成。
 ・欧州: 燃費規制、安全技術、デザインへの対応を通じ先進技術、商品力を磨く。

 消費者の立場に立って価値ある製品を作ろうという理念の下、安全安心で小さなクルマを目指して、着実に実績を伸ばしているスズキの動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事