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GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)包囲網が進行中 (中編)
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世界の各国は経済のグローバリズムの進展により、自国への企業誘致を進めるため企業の実効税率を引き下げている。日本も14年度に34.62%だった実効税率を、18年度までに29.74%へ引き下げた。アメリカのトランプ政権は連邦法人税率35%を、1月から21%に引き下げた。もともと多国籍企業はタックスヘイブンと呼ばれる租税回避地を活用して、租税負担の軽減に努めているという指摘はされてきたが、GAFAにはその傾向が一段と顕著なようだ。各国が税率の引き下げ競争をする以上にGAFAはしたたかで、16年にGAFAが支払った実効税率は9.5%という集計まである。
【前編は】GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)包囲網が進行中 (前編)
だが、GAFAはやり過ぎたのかも知れない。税率ダンピングに見切りをつける国が出現し、いよいよEUやG20が「デジタル・サービス税」の創設を本気で検討する流れが出来つつある。
GAFA包囲網の2つ目は個人データに関わる。欧州連合(EU)は5月25日に、個人データ保護を大幅に強化した「一般データ保護規則(GDPR)」を施行した。デジタル化が進む経済のうねりの中で、今や個人データの保有量の多さが国や企業の強さを計る尺度と見なされ、「データ資源」とすら評価されるようになって来た。
反面、この個人データは不適切な取り扱いで流出に至ると、プライバシーの侵害や犯罪への悪用はもちろん、近年では世論操作への関わりも懸念されるほど、リスクの範囲が拡大し、その深刻度は著しく増加している。EUが世界で一番厳しいとされるGDPRを企業に課すのはその懸念の表れだ。
15年にイギリスの選挙コンサルタント会社が絡む、8700万人にも上る個人データの流出事件に関して、イギリスのデータ保護当局は10月25日に50万ポンド(約7200万円)の罰金を、フェイスブックに課すことを正式に発表した。この金額はイギリスの旧個人情報保護法での最高額に相当するが、GDPRの施行前であったことがフェイスブックにとっては幸いだったようだ。もし、GDPRが適用されていたら、違反企業には最大で2000万ユーロか、世界における年間売上高の4%の高い方の制裁金が科せられていた。2000万ユーロだと約25億6千万円となり、売上が4兆5千億円で試算すると約1800億円の制裁金になるからだ。
英情報コミッショナー事務局(ICO)のエリザベス・デナム事務局長はデータの管理体制がずさんであるとして「GDPRが適用された場合の罰金は極めて高額になった」と声明している。
そのフェイスブックは、9月28日に再度のデータの流出が発生したと発表している。被害者は2900万人を数え、そのうち1400万人については登録住所や職歴、宗教、婚姻状況、検索履歴などの重要情報が含まれていたという。この問題は、ECのGDPRが5月に施行されて以降、IT大手が引き起こした初めてで、かつ大規模なデータの流出となった。今回はGDPRに基づく調査が、アイルランドの個人情報保護局によって進められている。(後編へ)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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