江戸時代から日本人に親しまれる薬とは? 自然の恵みに注目

2018年10月21日 17:37

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記事提供元:エコノミックニュース

機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)など、新しい制度もでき、健康食品ブームと言われている

機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)など、新しい制度もでき、健康食品ブームと言われている[写真拡大]

健康・美容志向の高まりによって、健康・機能性食品市場は年々拡大している。矢野経済研究所が実施した消費者アンケート調査によると、調査対象となった30代以上の消費者の7割以上が機能性表示食品を認知しており、約3割が摂取経験を持があることが分かった。また、機能面では、中性脂肪、内臓脂肪、コレステロールの対策などへの関心が高かった。

 機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)など、新しい制度もでき、健康食品ブームと言われているが、日本には古くから日常的に摂取してきた伝統薬が数多く存在している。例えば、「養命酒」(養命酒製造株式会社)や「龍角散」(株式会社龍角散)、「命の母A」(小林製薬)などがそうである。

 「養命酒」は、桂皮や紅花、地黄、芍薬など14種類の生薬を配合した薬用酒で、滋養強壮の効能を持つとされている。第2類医薬品として薬局やドラッグストア等で販売されているが、その歴史は古く、起源は江戸時代、徳川家康の治世にまでさかのぼるという。

 「龍角散」も同じく発祥は江戸時代後期で、出羽国久保田藩の御典医であった藤井玄淵によって創製言われ、藩薬とされたのが最初と言われている。今では、のど飴やゼリーなど、多彩な商品として一般に出回っているが、もともとは藩主の喘息を治すため、龍骨や龍脳、鹿角霜といった希少な生薬を使って作られていたものらしい。

 「命の母A」は、養命酒や龍角散ほどではないものの、それでも100年以上の歴史があり、明治、大正、昭和、そして平成の女性を支えてきた伝統薬だ。漢方医学の視点から考えられた、13種の和漢生薬と各種ビタミンの複合薬で、イライラや突然の汗など、更年期障害を治すための、女性の強い味方として、現在でも広く愛飲され続けている。

 また、生薬ではないものの、世界中で古くから「身体に良いもの」として親しまれてきたものの中に、ローヤルゼリーやプロポリスといった「ミツバチ産品」がある。近年、ローヤルゼリーの機能を明らかにする研究が進み、人の健康にどのように役立つかが解明されてきた。例えば、加齢に伴う筋力低下の予防や、高血圧やコレステロールの上昇を抑える効果、糖尿病予防効果などの効能や効果が、研究結果より報告されているのだ。

 また、ミツバチが作り出す天然の抗菌・抗生物質であるプロポリスも、花粉症やアレルギー、風邪やインフルエンザ、認知症を予防する働きがあることが、最新の研究で明らかにされている。

 前述の伝統薬はいずれも、自然界に存在するものをそのまま原材料にしているものが多い。やはり、化学的に合成されたものよりも、自然界の恵みを取り入れた方が副作用も少なく、人間の身体には良いということなのかもしれない。健康食品ブームの今だからこそ、その原材料はできるだけ自然由来のものを選びたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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