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産総研、AIを用いた土石流検知システム開発 コスト大幅減で普及にも期待
産業技術総合研究所は10日、AIによる土石流検知センサーシステムを開発したと発表。高い精度で土石流を検知でき、またセンサーの設置や維持管理におけるコストの大幅ダウンも見込める。
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このシステムでは振動センサーを配置し、そのセンサーからの振動波形をAIで解析して土石流を検知する。AIの機械学習によって、風雨や地震、火山性微動などの土石流以外の振動を除き、土石流の振動のみ判定する方法を実現した。
土石流判定AIソフトウェアは、土石流が頻発する桜島にて約1カ月間振動データを収集したうえで生成した学習データから開発された。このソフトウェアに対して検証を行ったところ、誤りなく全ての土石流を検知できる見通しが立ったという。
また汎用部品を使った安価なセンサーを複数使用する、より利用されやすい形態のシステムにもなっている。従来は「点」での検知となる、つまり高価な土砂災害関連計測機器およびセンサーを単体で現場に設置するケースが少なからず存在した。
しかしセンサーなどの機器を単体で用いるより、複数のセンサーを「面」で使うほうが誤判定の可能性は小さい。加えて今回開発したシステムにおいては使うセンサー自体が安く済むため、費用が普及への障害となりにくい。これらの点で、その有用性が確認された。
日本には山地が多く、梅雨や秋雨の時期、台風に見舞われた際には多量の雨が降る。発生する土砂災害の数は、平均で年間1,000件程度だ。2018年には6月末から7月にかけての豪雨や台風21号などにより大きな被害が出た。
さらに土砂災害のなかでも土石流は発生してから短時間で集落に達することもある危険な現象だ。このような災害による被害を避けるには、いち早く災害の発生や予兆を捉えなければならない。今回開発されたシステムがその一助となるか、期待がかかる。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)
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