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【日本は貧乏になって行く(2)】 社員の貧困を放置する自動車メーカー
■クルマを「買いたくない」理由は?
クルマを買いたくない理由は、「買わなくとも生活が出来る」「お金がかかる」「自分のお金は車以外に使いたい」などだ。年収区分によりいろいろな質問に関してみていくと、やはり年収が多い人ほど所有率は上がり、クルマを趣味としてとらえる余裕を見せている。つまり、「買いたくない」と言っても「必要なら買う」し、お金があるなら「趣味としても買いたい」のが本音のようだ。
【前回は】【日本は貧乏になって行く(1)】「若者のクルマ離れ」から見えてくる日本の将来
たしかに、クルマよりもSNSの必要性のほうが優先しているようで、通信費の負担は社会のライフスタイルそのものを歪めているともいえる。車はなくとも、月額数万円相当の通信関係費用は負担してもよいようだ。ここに、「車に関心がない現代若者像」の特色はある。つまり、「即物的」で身近なものから関心がある実像だ。それでも、「貧困」が基礎にあることは確かだ。
■社員の貧困を放置する自動車メーカー
お金の使い道の主なものは、「外食」「通信費」「ファッション」などで、結婚など必要性が感じられる環境になるまで、車の優先順位は上がってこない。これも「貧困」の現れで、もっと余裕を持てるなら視野も広がるかもしれない。外食は必需品でもあり、独身者にとっては最優先となりえる項目だ。「ファッション」も必要経費とも受け取れる項目で、「衣・食・住」を最優先とするなら、「車までお金が回らない」のが実態なのだ。
これを「貧困」と呼ばずして、なんと呼ぶのだろう。
自動車メーカーは、若者にも自動車を買ってほしいと望んでいる。しかし、メーカー自身の若い社員の給料は十分に伸びているのだろうか?
私の世代は団塊の世代だ。この世代が20代のころ、ベースアップは年間10%台だった。現在の中国と同じ高度成長期で、給料は上がっていくものと決まっていた。そこで、「数年たてば給料が上がり、借金は大した負担にならない」と判断していた。しかし、第1次オイルショックで不況が来た時、多くの企業で社員が住宅ローンで破産する騒ぎが起きた。それは、高度成長で「早く借金をしたほうが有利」との見方が出来、「ボーナス払い」も含めてローンを組んだため、不況が来てボーナスが出ない企業もあり、一流企業でも破産する社員が出たからだ。またこの時代、「車をローンで買う」のが当然となっていて、当時の若者は「夢を膨らませる」ことが出来たのだった。「いつかはクラウン」と言われた時代だった。将来を楽観視していた時代で、借金するのが得策だった。
しかし、年金が出るかどうかも分からない不安がある現代では、とても購買意欲は出るものではなく、まず、「若者の不安を取り除き、夢を持てる環境整備」が先決だ。自動車メーカーは自社の社員の給与を上げる努力をする必要がある。
高齢者にとっても、貯蓄はあるが購買意欲はない。この現状について、政治の失敗ともいえる状態を含めて、自動車メーカーは理解を深めねばならないだろう。
次は、「社員は消費者である」ことを確認しよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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