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ノーベル物理学賞、レーザー物理学の分野で革新的な発明をした3氏が受賞
headless曰く、 2018年のノーベル物理学賞は、その半分を米国のアーサー・アシュキン氏が受賞し、あとの半分をフランスのジェラール・ムーロウ氏とカナダのダナ・ストリックランド氏が共同受賞した(概要、プレスリリースPDF、詳細情報PDF)。
総合的な授賞理由はレーザー物理学の分野での革新的な発明。アシュキン氏への授賞理由は光ピンセットの発明、ムーロウ氏とストリックランド氏への授賞理由は2氏が開発したごく波長の短い高強度レーザーを発生させる方法となっている。ストリックランド氏は史上3人目の女性のノーベル物理学賞受賞者となる。
アシュキン氏は1970年、レーザー光による光学力で分子を動かすことが可能なことや、周囲よりも屈折率の高い分子が傾斜力でガウシアンビームの中央に引き寄せられることを示し、対向する2つのレーザービームによる分子の三次元トラップの可能性を示した。1986年に作成した単一のレーザービームによる光学力のみを使用する光学トラップは、すぐに「光ピンセット (optical tweezer)」として知られるようになる。1987年にアシュキン氏は光ピンセットで生体細胞を傷つけずに捉えられることを示し、生物学の分野で他の研究者による応用も進められている。
ムーロウ氏とストリックランド氏は、光学媒質を破壊することなく高強度レーザーを実現するチャープパルス増幅(CPA)と呼ばれる技法を開発した。この技法ではレーザーパルスを延伸してピークパワーを減少させてから増幅する。増幅後にパルスを圧縮することで、短波長かつ高強度なレーザー光を得ることが可能となった。2氏の研究成果はレーザーによる視力矯正手術などさまざまな分野で応用され、今後も新たな分野での応用が期待されている。
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