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BMW韓国で炎上 原因特定の遅れは何を示す (2)
ドイツ・ミュンヘンのBMW本社。(c) 123rf[写真拡大]
■疑問4:「企業体質」
幾度か簡単に紹介してきたが、私も自分が所有していたBMW・850で「エンスト」の不良に悩まされたことがある。その時、BMWジャパンは修理することが出来ないとなると、「修理拒否」に出て責任を回避している。筆者は、監督官庁に届け出たが、「2週間でレポートを出す」と言っていたのが、「担当者が替わった」として返答がなかった。BMWが政治力を使った痕跡は、この問題を取り上げた出版社にも及んだ。最初の記事が出てから2回目の取材を終えたのちに、連載予定を突然取りやめ、担当記者によると、その理由を「上司の意向」としていた。
その時の不良原因は簡単で、当時ボッシュが作っていたエンジン制御プログラムにおいて、各所に取り付けられていたセンサーの一つが少々の異常を感知しても、全て「システムダウン」の処理がなされてしまうためだった。それで、走行中に突然エンジンストップしてしまうのだ。走行中の状況などをみて段階的な処置をすればよいことだったのだが、当時のボッシュのシステムは単純すぎたのだ。
その当時の関係者の理解では、「日本車の電子制御に出遅れた焦りで、BMWが失敗した」との観測だった。たしかに当時のBMW・750、850は、BMWが本格的に電子制御に乗り出した最初のクルマだった。
そして、「異常な処置」をプログラムがしているとの情報があっても、BMWからボッシュを動かすことが出来ずに、政治力で隠蔽する体質であったのだった。トヨタの「カイゼン」機能が重要であることの事例だ。また、昨今のサプライヤーチェーンの在り方を考える事例でもある。ボッシュは当時からBMWよりも巨大な企業で、その「力関係によりBMWがボッシュを動かすことが出来なかった」のだ。これは、その当時のディーラーの担当者の見解だ。
■韓国でもBMWはあやふやな態度に終始している
今回の火災の件でも韓国BMWの対応を見ていると、いまだに「隠蔽体質」がなおらないようで、対処が後手に回っているようだ。当時、BMW・850は順調に走っているときはほれぼれするほど素晴らしい車だったし、現在でも「問題がなければ」BMW各車は、私の「お勧め1番のクルマ」だ。しかし、万が一問題が発生したら、BMWが責任を持って対処するとは考えずに、「車を捨てる」覚悟が必要と言い添えたい。つまり、企業体質が変わっていないからだ。結局、私のクルマも5万kmぐらいは走ったが、そのうち3万kmぐらいは整備のためだった。治らないと見るとBMWは整備を拒否したのでチューナーに持ち込んだのだが、「気の毒に…エンストは治らないのです」と言われてしまい、そのチューナーのクルマを試乗したときも、また同じようにエンストしてしまった。
この筆者が実体験した事例は、BMWディーラーの当時の整備士などでは有名な話で、「BMW・750と850のV12気筒エンジンはエンストする」と知れ渡っていた。しかし、リコールもかけずに隠蔽しきったBMWの政治力には感心させられる。現在のようにネットがあれば、ユーザーから暴くこともできるが、当時のように「雑誌社が圧力に屈して」しまっては、社会に発信すらできないのがユーザーの立場だった。
「雑誌社の名前」を出してもよいのだが、その雑誌社のイメージとは一致しないので、今更やめておく。でももしネットがあれば、雑誌社も諦めることはなかったかもしれない。この記事は、その当時を知る記者も読む可能性が高いので、気が付いたら反省してほしい。
BMWは、ネット時代を考慮して、BMWの本拠地「ミュンヘンのゲシュタポ」の汚名は返上しなければなるまい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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