好調の国内白物家電市場 多機能・高性能を支える最先端16bitマイコン

2018年9月23日 23:07

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記事提供元:エコノミックニュース

ラピスセミコンダクタが開発した16bitマイコン「ML62Q1300/1500/1700グループ」。業界トップクラスの120 機種をフルラインアップし、家電・産業機器用途を網羅する

ラピスセミコンダクタが開発した16bitマイコン「ML62Q1300/1500/1700グループ」。業界トップクラスの120 機種をフルラインアップし、家電・産業機器用途を網羅する[写真拡大]

国内の白物家電市場が絶好調だ。日本電機工業会(JEMA)の発表では、出荷額が3年連続でプラスに推移している。とくに今年上半期は、20年ぶりの高水準を記録した昨年よりも好調で、昨年同期比で2.3%増、金額で1兆2025億円になることが分かった。猛暑の影響もあって、エアコンの出荷額が4.7%増と大幅に伸びたほか、洗濯機、冷蔵庫なども堅調だった。

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ここ数年のインバウンド需要もさることながら、国内全体の出荷額が増えていることは大いに喜ぶべきことだ。好調の理由としては、共働き世帯の増加が挙げられるだろう。共働き世帯では、家事の時間をいかに短縮できるかということが大きな関心事になることからも、最近の白物家電市場では「時短」をキーワードにした商品が人気を集めている。

 例えば、日立の大容量ドラム式の洗濯乾燥機「BD-SG100B」は、高速風でシワを伸ばしながら乾燥することで、アイロンがけなしでも着られる仕上がりをもたらす「風アイロン」機能に加え、洗濯槽の「自動おそうじ」機能まで付いており、働く主婦の強い味方となっている。また、東芝の最新型冷蔵庫「ベジータ」は、ぎりぎり凍らない低温で保存する速鮮チルド方式を採用。一気に冷却することで通常の冷蔵よりも食品の鮮度が長持ちする上、冷凍のように解凍する手間も必要ない。食品のまとめ買いや作り置きもしやすくなるので、買い物の時間や調理時間の短縮に大いに貢献する。

 ところで、ここ数年で白物家電の高機能・多機能化が急速に進んでいるのはどうしてだろう。

 その背景には、機器の内部に組み込まれるマイコンの技術が飛躍的に向上したことが考えられる。マイコンとは電気製品の頭脳ともいえる部分で、電気的な回路や機械的な部分を制御する半導体チップのことだ。このチップのお陰で複雑なプログラムや制御が可能になる。

 マイコンの性能は、8bit、16bit、32bitのようにビット数であらわされるが、この数字が大きくなればなるほど演算能力が高くなる。しかし、構成するハードウェアやチップのサイズも大きくなり、価格も上がる。そこで家電業界ではこれまで8bitマイコンが主流として使用されてきた。ところが、ここ数年の技術革新によって16bitマイコンが小型化したことで採用が進み、前述したような高性能家電に対する需要の高まりを背景に、一気に高機能・多機能化進んだのだ。

 国内の半導体企業では、マイコンの世界シェア1位を誇るルネサスが有名だが、他にはロームグループのラピスセミコンダクタなどが16bitマイコンでシェアを伸ばそうとしている。同社の最新の16bitマイコン「ML62Q1300/1500/1700 グループ」は、同社の定評あるノイズ耐性技術に加え、マイコン内部の故障を検知する自己診断など、家電の安全項目(IEC60730規定)において業界トップクラスの13項目に対応した”セーフティ”を特長としている。家電分野をはじめ、ノイズや高温など厳しい環境でも安定した動作が求められる小型産業機器分野においても、マイコンに生じる不測の事態から機器やシステムを守ることが可能となっている。また、入出力ピン数やプログラム容量の違いで、120 機種からなる業界トップクラスの商品ラインアップを取り揃え、幅広い用途に対応していることからも、国内のみならず、世界の市場でも需要やシェア拡大が期待できるだろう。

 ソフト面でもハード面でも、今、日本の家電業界は最高に充実している。まだしばらくは、この好調が続きそうだ。(編集担当:藤原伊織)

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