肥満と住む環境には関連性 グーグルマップからAI使い分析 アメリカの研究

2018年9月5日 21:07

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●人工知能によって宇宙から認識される肥満

 衛星画像に基づき15万枚のグーグルマップを分析した結果、住む環境と肥満との関連性が認められた。つまり、公園や高速道路、緑地、歩道の有無、また住宅のモデルなどにより、肥満度の高い地域を人工知能によって認識が可能ということになる。

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 アメリカのワシントン大学のこの研究は、『JAMA Network Open』誌に発表された。

●アメリカ6都市の環境と肥満

 ワシントン大学の研究者は、ニューラルネットワークを使用し、アメリカ人が住む環境と肥満のデータに関連があるのかという研究を行った。

 対象となったのは、アメリカの6都市。ベルビュー、シアトル、タコマ、ロサンジェルス、メンフィス、そしてサンアントニオである。研究チームは、これらの都市の環境と肥満度についてデータをまとめた。環境のデータは、公園、高速道路、緑地、歩道、住宅の平均的なモデルなどが対象となっている。

●アメリカ疾病予防管理センターの肥満調査の結果と比較

 こうして分析された結果と、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がロバート・ウッド・ジョンソン財団と協力して実施したプロジェクト「500 cities」の結果と比較した。同プロジェクトは、アメリカ各都市の健康状況のデータを網羅している。

 通常、緑地が少なく人口密度が高い地域に住んでいる人は体力が低く、肥満になりやすい傾向がある。また、ジムやプール、オープニングスペースが多い都市は、姿勢が良いことも「500 cities」の結果から明らかになっている。

 「500 cities」が発表している各都市の肥満度と、今回のワシントン大学による衛星画像の分析は、ほぼ一致した。つまり、肥満の症例のおよそ3分の2(64,8パーセント)は、都市環境と無関係ではないという結果になった。

 過去のいくつかの研究と同様、都市の環境はそこに住む人の健康に大きな影響を与えることを、今回の結果も裏付けたことになる。

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