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北米自由貿易協定(NAFTA)(2) サプライチェーンの再構築と政治的孤立
■自動車メーカーはサプライチェーンの再構築が必要だ
各自動車メーカーは「一括開発」「スイング生産」などで、組立工場周辺ではサプライチェーンはすでに出来上がっており、NAFTAによる条件調整はコストアップに結び付くことは避けられない。現代の「混流生産」「順序生産」などの量産技術は、商品企画段階から綿密に加工手順や加工方法などまで詰めてきており、サプライチェーンを構築するには設計が絡んでいて、変更は設計まで戻らなければ出来ない部分がある。さらにはサプライヤーを長年かけて育ててきている部分があり、一夜にしてサプライヤーを変更するのは品質保証や生産納期などの面で危険が伴う。
【前回は】北米自由貿易協定(NAFTA)(1) 警戒すべきは台数制限項目 日本メーカーの運命は?
これらの心配は「グローバル発注では心配ない」とするなら、テスラに「やってみろ」と言っておきたい。その生産ラインのAIを使った画期的仕組みを見せつけてもらいたいものだ。納期と品質、コストを保ちながら、これらの条件変更をしても、すぐさま対応できるなら、それは理想的生産技術だ。
NAFTAの条件変更は、単なる制限では済まないコストアップ要因が出現したことになる。急激に進めることは品質保証の瓦解を招く危険さえあるのだ。
このようなトランプ大統領の産業構造を知らない稚拙な計算で、現実の物流とは関係しない金融の動きだけの「新資本主義」でも成り立つとは思えない。年間販売台数が、中国3000万台とアメリカ1750万台で、既に世界の自動車市場は中国に移行しており、合弁出資比率の解除など「市場開放」の中国の出方次第では、アメリカ市場離れが進む懸念さえある。
NAFTA再交渉で目先効果が出ても中長期的にみれば、経済の中心が中国に移行して、アメリカ経済だけではなく、自由経済社会全体を傷つけることが懸念される。第2次世界大戦後、欧州からアメリカに経済の中心が移ったように、中国経済が世界の中心となることは止められないのであろう。アメリカと言う「やくざの親分」が、肩で風を切って体をゆすって、「すごんで」いるようにさえ感じる。
次は、政治経済ともアメリカ凋落、中国台頭の現実を見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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