急がれる“洋式トイレ化”で浮上のジャニス工業

2018年8月22日 20:31

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 政府は急増する外国人観光客、そして東京五輪に向けて観光地を中心に和式トイレの洋式化への取り組みを急いでいる。

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 衛生陶器・住宅設備機器メーカー大手のTOTOが2014年に在日外国人を対象に行った和式トイレに対する調査では、「(当初)使い方が分からなかった」「(使う)向きが分からない」「便器に座ってしまうかもしれない」「不潔な印象を受ける」という声が相次いだという。調査から4年が経った。当然、対応策は進んでいると思ったが一昨年度の観光庁の調査結果を知り愕然とした。観光地の公衆トイレを対象に調べたところ「2万4,524基ある大便器のうち、42%に当たる1万181基が依然として和式のままだった」というのである。政府も昨年度から当該公衆トイレの洋式化を喫緊の課題として取り組んでいるというが、果たして文字通り「汚点一掃」となるのか。公衆トイレと一口に言ってもその規模や状況は一様ではない。全てを本格的に洋式化するには、相応の資金が求められる。

 こうした背景から証券関連者の口から飛び出してきているのが、ジャニス工業。便器や洗面化粧台など「衛生陶器の中堅」だが、社名自体が表立って語られることは滅多にない。商品自体が殆どタカラスタンダードやLIXILにOEM供給されているからだ。では何故、いま浮上しているのか。同社はイベント会場・公園・建設現場な仮設トイレ用部材を生産している。要するに「ポットントイレ」にかぶせるための「洋式簡易水洗トイレ」「手洗い器」などの部材を作っているのである。証券関連者の一人は「東京五輪・パラリンピックの競技が行われるエリアには外国人を含め観光客が集まる。仮設トイレの増設が必須。ジャニスの出番だよ」。

 最も、同社のその種の製品(部材)は代理店経由で最終商品は仮設トイレ業者に売られていく。そんな事情もあり「仮設トイレ用部材の需要が高まっていると思うが、企業収益への貢献度は」という問いかけに会社側から返ってきたのは「さあー」というものだった。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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