NYの視点:FOMCの9月の利上げは織り込み済み、景気の強さは一時的との見方=市場関係者調査

2018年8月1日 07:39

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記事提供元:フィスコ


*07:39JST NYの視点:FOMCの9月の利上げは織り込み済み、景気の強さは一時的との見方=市場関係者調査
米連邦準備制度理事会(FRB)は31日から8月1日にかけて2日間にわたり連邦公開市場委員会(FOMC)を開催している。FOMCは前回6月の会合で本年2回目の利上げを実施したのち、今回の会合では金利据え置きが予想されている。しかし、次回会合で、本年3回目の利上げを実施することは市場でほぼ織り込み済み。今回の会合では、年あと2回の見通しが維持されているかどうか、また、関税や貿易問題による景気への影響に関する見通しに焦点が集まる。

米国の政府高官が今週にも米中が貿易戦争を回避する目的で協議を再開する可能性を指摘したとの報道は、景気の先行き不透明感を払しょくさせ、見通しを改善させる可能性がある。FOMC高官らは、関税の影響が経済に出始めたと指摘していたが、景気見通しを修正するほどにはいたっていないと加えていた。ただ、一段の深刻化が経済の成長に悪影響を与える可能性を警告している。

FOMCを控えて、米国の経済専門局であるCNBCが、マネーマネジャー、エコノミストなどの市場関係者を対象として実施した恒例の世論調査によると、回答者は関税が、強い経済の成長や市場利益率予想に脅威となると見ていることが明らかになった。回答者の59%は関税が成長率を引き下げると予想。また、トランプ大統領によるFRBの政策に関する発言に対して、83%が「適切ではない」としている。同時に、FOMCの政策決定には影響ないと見ているようだ。

経済に関しては本年4−6月期の国内総生産(GDP)の成長が前期比年率4.1%と、2014年以来の強い結果となったが、回答者の63%は現在の強い経済が一時的と見ている。現在の一時的な強い成長の背景となるのは、減税、政府の刺激策、金融緩和策、規制緩和など。2018年度の見通しは+2.9%、2019年は+2.7%と依然、トランプ政権が予想している3%成長には懐疑的な見方が強いようだ。成長のリスクとしては、保護主義が53%、FRBの政策ミスが10%、インフレが8%、利上げが5%、地政学的リスクが5%。

万が一、報道どおり米中貿易協議が再開すると、市場の成長見通しも引き上げられる可能性が出てくる。アトランタ連銀は7−9月期国内総生産(GDP)成長率見通しを4.7%から開始。4−6月期の4.1%から伸びが一段と拡大すると見ている。

調査(CNBC)

■GDP見通し
(2017年:+ 2.2%)
2018年:+2.9%
2019年:+2.7%

■現在の強い成長は
恒久的:27%、一時的:63%、わからない:10%

■一時的な強い成長の理由
減税、
政府の刺激策
金融緩和策
規制緩和
原油価格

■景気後退の確率
16.8% (13.7% 2017 年12月)

■成長リスク
保護主義:53%、FRBの政策ミス:10%、インフレ:8%、利上げ:5%、地政学的リスク:5%

■利上げ見通し
9月:90%の確率で利上げを予想
2018年:3.7回、2019年: 2.5回

■FOMCは中立水準を上回る水準まで利上げ
53%

■米10年債利回り
2018年末
3.53%(5月3.54%)

2019年末
3.17%(5月3.24%)

■トランプ大統領のFRBに関する発言
適切ではない:83%、適切:15%

■トランプ大統領のFRBに関する発言の影響
影響なし:78%、一段の利上げにつながる:8%、利上げに可能性が少なくなる15%《CS》

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