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地銀4分の1、本業での赤字続く
金融庁の試算によれば、円金利・外貨金利が2018年3月末から50ベーシスポイント上昇した場合、全体の4分の1を超える地銀でコア業務純益を上回る含み損が発生する。有効で、早急に取り掛かることができる経営の立て直しプランの策定が急務だ。[写真拡大]
地方銀行の苦境が続いている。金融庁の試算によれば、円金利・外貨金利が2018年3月末から50ベーシスポイント上昇した場合、全体の4分の1を超える地銀でコア業務純益を上回る含み損が発生する。18年3月期決算でも本業による赤字を計上する地銀が続く中、苦しい実態がさらに浮き彫りになった格好だ。
金融庁は16事務年度以降、地方銀行へのモニタリングを実施し経営体質や含み損処理などに問題がないかどうかを調査してきた。リスクを承知で有価証券運用をしている割合の高い地銀への立ち入り検査を行ったり、地銀の長期的目標とその達成率などについての調査を行ったりしたところ、調査した31行のうち23行で含み損の処理などの問題が見つかった。加えて貸出先増加目標の達成率が著しく低いといった問題点も見つかった。
地銀の苦境は今年に入って始まったものではない。18年3月期決算では地方銀行全106行のうち 40行が個人や企業向けの融資による利息などの本業において3期連続で赤字となっている。全体の約4割の地銀が本業で利益を十分に上げられていないということだ。中には数十億円の含み損を計上した地銀もある。赤字の続く地銀は国債や有価証券の運用によって利益を上げることに注力しており、高いリスクを取っているといった問題を抱える地銀も少なくない。営業エリア内の人口の減少、銀行間で続く低金利競争などが大きな理由だが、目先の利益だけを求めて有効な打開策が打てないのが現状だ。
ここまで赤字が続いているとはいえ、金融庁は地銀の財務健全性はまだ維持されているとみている。巨額の赤字を抱える前であれば、長期的で実現可能なプランを立てて経営を立て直すことが可能だ。地銀の合併や提供するサービスの絞り込みなども対策の一つとなるだろう。地銀の営業エリアの人口減少に歯止めがかかることは考えにくく、住宅ローンなどの低金利もしばらくは続くと考えられる。有効で、早急に取り掛かることができる経営の立て直しプランの策定が急務だ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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