コラム【アナリスト夜話】:“バブル”調整後の仮想通貨は、ウサギか南海会社か?(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)

2018年7月25日 09:26

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記事提供元:フィスコ


*09:26JST コラム【アナリスト夜話】:“バブル”調整後の仮想通貨は、ウサギか南海会社か?(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)
先週土曜日は、札幌で全国投資セミナーを開催させていただきました。ご参加のみなさまには、改めて御礼申し上げます。

セミナーでは、仮想通貨に関わる質問も多く寄せられました。ビットコインは、年末の過熱から約60%下落しました。しかし、先週は1日で10%上昇する場面も見られ、今日未明に発表されたG20声明でも、マネロン等の監督強化という妥当な線に収まりました。今後の展開が気になるところです。

過去のバブル後の相場には、一定のパターンが見られます。上昇局面は、殆どためらいなく、急速に上昇していきます。ところが、その後下落が始まっても、下げ渋ったり反転したりして、調整に時間がかかります。グラフでいうと、価格の“山”は左側の斜面が急になり、下落は緩やかになるという「右に歪んだスキュー型」になります。

昨年10月後半以来の仮想通貨の動きもその典型です。古くは、あのアイザック・ニュートンも大損したという1700年代の「南海会社株式」や、日本の明治維新後初のバブル「兎バブル」も、80年代の土地・不動産バブルも、極めて似たパターンを辿っています。

過去、下落が落ち着くには、急騰した期間の3~5倍くらいの年月がかかっています。仮想通貨の場合、急騰期間は10月後半から12月末の2か月程度です。過去の例を当てはめると、6~10か月程度で調整が終了する可能性があります。

では、仮想通貨に反転上昇はありうるでしょうか。これについては、過去の事例はまちまちです。南海会社株は、政府の厳しい規制の結果下落の一途を辿りました。一方、本源的な価値があるものであれば、急騰前の水準よりは高いレベルで落ち着き、盛り返しています。餌代の分マイナス・リターンだった明治の兎でさえ、愛玩用としての値段で定着しました。仮想通貨は、今のところ実用性は低く愛玩用にもなりませんが、他の法定通貨への変換ができ、限定的ながらリアル店舗で利用できる分、一定の価値があると思われます。

バブルの価格調整がある程度終了し、G20もひとまず妥当な決着を見た今、技術の向上や使途拡大など、仮想通貨の資産としての真価が問われることになりそうです。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:7/23配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)《HH》

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