EC企業ヒラキの180円スニーカーの秘密

2018年6月19日 08:34

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「180円キッズスリッポンスニーカー」(画像: ヒラキ)

「180円キッズスリッポンスニーカー」(画像: ヒラキ)[写真拡大]

 靴を中心に衣料品・バッグ・インテリア雑貨などの通販で知られるヒラキの収益力が、あらためて右肩上がりに転じてきている。同社は通販・(ディスカウント)店舗販売・卸しが事業の3本柱だが、なんといっても強みは「低廉価」。同社を「180円スニーカーの企業」と称する向きもある。

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 安さを実現しているのは「自社企画⇒海外生産拠点工場への大量発注⇒直輸入」という枠組みのビジネスモデルに求められる。と同時に同社を知るアナリストからはこんな指摘が聞かれる。「中国が海外生産拠点だが、人件費の上昇が続く沿岸部に設けていない。文字通りの中国奥地にある。また中国から日本への搬入に当たっても、利用料の観点から神戸港から京都舞鶴港に移すなど安さに徹底してこだわっている」。

 総売上高の約53%を占める通販部門(カタログ販売/ネット通販)には、徹底した姿勢で臨んでいる。前3月期には「初のTVCM」「約1万7,000カ所のスーパーへのカタログ設置」「100円ショップのレジ袋への約650万枚のチラシ封入」「約1万7,000店舗の携帯電話店舗に約169万部のカタログ設置」の実行がなされている。またヒラキでは、インフルエンサー(SNSで存在感が高い)人物へのサンプルを無料提供し、反応の書き込みを促している。

 ネット通販でも「CRMメール」を開始。既存顧客の属性・行動歴・購買履歴に基づいた「こんな新商品は如何でしょう」といった、一歩踏み込んだ購入訴求を促すことを可能にしている。

 前々期の「46.1%の営業増益、83.5%の最終増益」という「利益大幅改善」に続き、前期も「29.6%の営業増益、38.5%の最終増益」と期中に上方修正。実施期初計画を大幅に上回る着地を実現した。

 ちなみに通販の営業利益(12億3800万円)に占めるネット通販比率は約60%。アナリストは「ヒラキは主力の通販を、ネット通販に軸足を置く方向で動いている。つまりEC企業としてのウェイトの高まりいかんが、同社の今後を占う上で最大のポイントになろう」としている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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