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ライザップグループの真意
『細るからだ、太るライザップグループ』。こんな見出しの記事が踊っている。激やせジムで全国区企業になったライザップ。いま嘘か真か、1日1社の割合でライザップグループ(以下、ライザップ)には新たな企業が加わっていると言われる(現在、約65社)。ライザップの瀬戸健社長の真意はどこにあるのか。
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一部にはこんな指摘すらある。「国際統一会計基準を採用しているライザップが不振企業を傘下に収める狙いは、負ののれん代の計上で営業利益をかさ上げすることにある」。確かに買収金額と資産価値の差異に当たる「負ののれん代」として営業利益に充てることは可能。しかし冷静に考えれば、不振企業が破綻した時には損失計上が発生する。説得力に乏しい。
ライザップをウオッチするアナリストは「サンケイリビング新聞社を買収した折り瀬戸さんは、かつて債務超過に陥ったUSENを立てなおした中村(史朗)氏を会長に据えた。再建が始まったばかりだがアパレルセクターのジーンズメイトでは、ユニクロの元デニム担当者を張り付けている。勿論、全てが収益回復・再成長軌道入りという保証はない。が瀬戸さんの頭の中には全国区企業になりえたことを契機に、いわばコングロマリット構想があることは間違いない」とした。
ちなみにライザップの前3月期は「42.9%の増収(1362億100万円)、33.1%の営業増益(135億9000万円)」。だが営業利益のうち50%以上を「やせジム」主体の「美容・健康関連事業」で占めている。「住関連ライフスタイル事業」の営業利益は前々期比3.7倍と拡大しているが、一方「アパレル事業」は前々期比30%減、「エンターテイメント事業」は82%減と「足を大きく引っ張っている」状況。
かつてソニーの元会長・社長の故盛田昭夫から「旧東京通信工業からソニーに社名を変える時、井深(大、故人、元会長・社長)さんと私は、他の役員のせめて下に電子工業とか通信工業をつけるべきという声を跳ねのけた。金融機関までグループ内に持つコングロマリットを創出したかったからだ」と聞かされた。ソニーは結局「銀行保有」の壁は超えられなかったが生保を契機に損保・ネット銀行を有するに至った。
6月の株主総会でカルビーのCEOを辞す「経営のプロ」の松本晃氏がライザップのCOOに就く。ますます同社の先々は興味深いものとなる。
瀬戸氏の口から本気で「コングロマリット」の形成を志向しているのなら、「金融機関を」とする声が発せられる日が来るかもしれない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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