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ホットメルト手法により布地上に貼り付けた超薄型有機太陽電池(写真:東レの発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所(理研)と東レは17日、耐熱性と高いエネルギー変換効率を兼ね備えた「超薄型有機太陽電池」の開発に成功したと発表した。
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超薄型有機太陽電池の厚さは3マイクロメートル、毛髪の太さの約1/20の寸法だ。この太陽電池は最大エネルギー変換効率10%を達成。100度の加熱でも素子劣化が無視できる高い耐熱性を持つ。また、大気環境中で80日保管後の性能劣化も20%以下だ。
このような特性を利用して、アパレル作製時に布地の接着などで一般的に用いられているホットメルト手法によって、布地への貼付に成功。120度で30秒間の加熱圧着で貼り付けたが、その前後での太陽電池の特性の変化や劣化はほとんどないという。
なお、本研究の詳細は、米国アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America』の掲載に先立ち、オンライン版(4月16日付け)に掲載されている。
●超薄型有機太陽電池の特長
有機太陽電池は、有機半導体ポリマーを光電変換層として用いた太陽電池だ。塗布プロセスによる大量生産が可能であり、安価で軽量かつ柔らかい次世代の太陽電池として注目される。今回、高エネルギー変換効率と高耐熱性を併せ持つ新しい半導体の性質を持つポリマーを開発。
有機太陽電池は、基板から封止膜までの全てを合わせた膜厚が3マイクロメートルと超薄型だ。
最大エネルギー変換効率は10%を達成。有機太陽電池を5センチメートル角の超薄型基板に110個並べて大面積モジュールを形成した実験では、最大電力36ミリワットを達成した。
80日間大気中に保管する大気安定性試験では、エネルギー変換効率の低下は20%に抑えられた。従来の半導体ポリマーでは29日間の大気中保管で、エネルギー変換効率は50%低下したという。
ホットプレート上に5分間置く耐熱試験では、100度まではエネルギー変換効率の劣化はみられない。従来の半導体ポリマーでは20%の劣化があったという。
●有機太陽電池(理研と東レ、新たな半導体ポリマー)のテクノロジー
超薄型有機太陽電池をアパレル作製時に布地の接着などで一般的に用いられているホットメルト手法によって、布地への貼り付けに成功。さらに、貼り付け後の性能や特性劣化が見られないことは、この有機太陽電池の普及を加速する可能性を秘める。
具体的な貼り付け方法は、布地の材質にはポリエステルを使用。超薄型有機太陽電池と布地の間に加熱によって溶けるポリウレタン製のメルトフィルムを挟み、120度の条件で30秒間の加熱圧着することで太陽電池を布地に貼り付ける。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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