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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆動きが速い◆
*09:50JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆動きが速い◆
〇対中国対話、対ロ制裁など交錯〇
昨晩、日本のメディアが北朝鮮のものらしきお召し列車の 北京入りを報じた。金正日氏が使用していた列車と思われ、NHKは慎重に「金正恩氏か、金与正氏か」と伝え、ブルーム バーグは「金正恩氏」と伝えた。
中国が呼びつけたのか、北朝鮮が請うて訪問したのか分からないが、明らかな変化の兆しで、一般には対話路線が大きく前進すると受け止められる。
WSJ紙は前週末に米政府が、中国の経済政策司令塔になった 劉鶴副首相に書簡を送り、米国製自動車に対する関税引き下 げを要請したと伝えた。米国製半導体購入増や金融セクター 開放も求めたと言う。24日にムニューシン米財務長官は電話 会談を行った。財務長官が訪中意向を示したとも伝えられた。
英FT紙は、中国は米国から半導体輸入を拡大し、代わりに韓国や台湾からの輸入を抑える、5月までに外資系金融機関の中国内証券会社への出資規制緩和をまとめる方針と伝えた。
中国では、商務次官が金融、通信、医療、教育分野の対外開放を 拡大し、一部では出資規制の完全撤廃を検討する方針を明らかに した。人民銀行新総裁は金融業の着実な対外開放を進める方針を 表明。新財政相は製造業、運輸業に対する税制見直し(付加価値 税引き下げ)を含む財政改革意向を表明。韓正副首相は市場開放と知財権保護強化を改めて表明し、「中国は経済グローバル化が後戻りできないことを理解している」と述べた。
言葉と行動の不一致はしばしば見られるので、楽観はできないが、 中国は集団で矢を射る様に、広範囲な小出し開放路線を進めようとしているように見える。対話での時間稼ぎも含まれる。
反面、米政府は元スパイ暗殺未遂事件に絡み、ロシア外交官60人の追放、シアトルの領事館閉鎖を発表した。英政府、欧州各国と協調 したもので、追放は22カ国で110人超に達すると言う。
欧州株は引けに掛け、マイナスに転じた。ロシアとの緊張が嫌気されたこと、一番早く崩れたイタリアの政局混迷を嫌ってのものと見られる。
先週末は「貿易戦争への懸念でドル下落」、週明けは「ドル指数5週間ぶりに安値、リスク選好戻る」と報じられた。どっちに転んでも ドル安かい!と言いたくなるが、米銀の資金調達コスト急上昇(ロンドン銀行間取引金利3カ月物が上昇し、オーバーナイト・インデックス ・スワップOISに対するプレミアムが58bp、09年5月以来の水準)、 今週は米国債入札が2940億ドル、過去最大規模の過程(昨日は2年債 入札300億ドルが低調だった)にある。20日終了週のIMM通貨先物建玉で、円売り越しは2万1999枚と前週比5万7540枚の急減となっている。 当面、方向感の得難い展開が想定される。
売り方の動きが速いので、目まぐるしさを伴いながらも、戻りを試す局面と考えられる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/3/27号)《CS》
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