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米朝 「非核化」 定義に食い違い 外交失敗で軍事行動の選択肢も=専門家
*10:59JST 米朝 「非核化」 定義に食い違い 外交失敗で軍事行動の選択肢も=専門家
米国と北朝鮮が非核化をどのように定義するかの違いで、5月までに行われる予定のドナルド・トランプ大統領と金正恩党委員長の首脳会談は実現しない可能性がある。
3月5日、平壌を訪問した韓国特使団と面会した金正恩委員長。特使団トップの鄭義溶(チョ・ウィヨン)国家安保室長は帰国後の会見で、金正恩氏は米朝首脳会談を希望すると明確な意思を示したという。
特使団との会談で、金正恩氏は、北朝鮮に対する米軍の脅威が取り除かれ、金体制の安全が保障されれば、朝鮮半島の非核化への動きを明確にするとした。ワシントンに渡った鄭氏は、金委員長の提案をトランプ大統領に伝えた。大統領は、5月までの首脳会談の開催を承諾した。
*「非核化」米朝の定義に食い違い
しかし、アメリカと北朝鮮における「非核化」の定義では、齟齬(そご・食い違い)が生じている可能性がある。
朝鮮半島情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授によると、米国および日本韓国が「北朝鮮の非核化」を定義するのに対して、金委員長は「朝鮮半島の非核化」を指しているという。
北朝鮮はこれまで、朝鮮半島上空の米国の「核のカサ」、米韓安保同盟、在韓米軍の駐留など、これらの体制保証を脅かす材料が取り除かれた上で、北朝鮮の核廃棄と完全な解体を行うことを「非核化」と解釈してきた。
また、北朝鮮はかつて韓国内にある米軍基地の査察を主張したことがあり、韓国への非核化を要求してくるだろうと、李教授は推測する。
大西洋評議会のシニアフェローであるロバート・マニング氏は「非核化の見解がずれていれば、トランプ大統領と金正恩委員長による首脳会議は、中止される可能性もある」と米VOAに述べた。
前回の北朝鮮との会談に関わってきたエバンス・リビア(EvansRevere)元国務省官員は「北朝鮮が非核化を本当に議題にしていると期待してはならない」と警告した。
「非常に複雑な状況だ。会談を要請した金委員長からの親書には、非核化論議に関心を持っているというような印象があるが、実際、その(非核化の)証拠は全くない」と述べた。
あわせて読みたい:韓国で南北首脳会談の準備開始 北では原子炉試験の兆候も www.epochtimes.jp/2018/03/31906.html
*朝鮮半島非核化、米国への条件は
米海軍分析センターのケン・ガーズ国際事務局長は、そもそも非核化の定義が食い違っていれば、米国は「交渉開始のための共通認識」を見いだせないかもしれないと分析する。元国務省リビア氏は、トランプ氏と金氏が異なる結果を念頭に置いている場合、外交上の進展は極めて難しいと見ている。
「外交にはルールがある。首脳会談においては互いに何を求め、受け入れるかを理解していなければ、対話に踏み込まない。このたびの米朝首脳会談には、それがないのでは」とリビア氏は懸念を示した。
*欺瞞に満ちた北朝鮮の約束
北朝鮮の非核化へのコミットメントは非常に欺瞞(ぎまん)に満ちているという。
「訪朝団トップだった鄭氏が、北朝鮮側から聞いたことは『非核化の交渉』ではなかったのではないか」とリビア氏は続ける。「これが意味するのは、米韓軍事同盟の解消と、米側の軍事的圧力の停止だろう」。
このたび韓国訪朝団が発表した、北朝鮮による核兵器開発計画の放棄は、金政権による公式な表明ではない。北朝鮮の労働新聞も、訪朝団以後であっても、核保有を正当化する内容やトランプ大統領に対する厳しい批判記事を載せている。
李相哲教授は「たとえ独裁体制でも、『非核化』のように国家の方向性を変える大事な話は、政治局常務委員会あるいは政治局拡大会議(常務委員、政治局員、政治局候補委員が参加)で決定し、正式な手続きを踏む。しかし、いまだにそのような会議が開かれたという情報はない」と述べた。
マニング氏によると、金委員長による「非核化」について直接の言明がなければ、その定義と意思を米国が誤解する恐れがある。
首脳会談での非核化をめぐる齟齬は、外交の失敗につながる懸念があり、米国の軍事行動を高めることにさえなりうると分析する。「米朝首脳会議で、トランプ大統領は嘘をつかれたり、裏切られたと判断すれば、軍事行動の選択肢を取る可能性も出てくるだろう」と述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)
【ニュース提供・大紀元】《HT》
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