NYの視点:FRB高官、市場の混乱で景気見通しの修正なし、利上げ継続へ

2018年2月8日 09:03

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記事提供元:フィスコ


*09:03JST NYの視点:FRB高官、市場の混乱で景気見通しの修正なし、利上げ継続へ
米国の株式相場が今週初め、急落したため、一時連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げペースを遅らせるのではとの見方が市場で浮上した。先週末に米労働省が発表した1月の雇用統計で、雇用の増加幅が予想を上回ったほか賃金が上昇し労働市場のひっ迫が示唆されたため3月の利上げ確率はいったんほぼ100%近く織り込んだ。しかし、今週に入り、株安を受け80%を割り込んだ。

市場の混乱を受けて、今後の金融政策の行方に注目が集まる中、NY連銀のダドリー総裁は「今回の株式相場の下落はそんなに大きくない」「株式相場の下落は、中央銀行が重視する話には今のところなっていない」と一蹴。現在のところ、株式市場の急変は経済見通しに何の影響も与えていないとの見解を示した。同時に、事態が深刻化し、大幅な株式相場の下落は景気見通しを変える可能性があると警告。

エバンス・シカゴ連銀総裁は、現在のデータともとにした場合、年半ばまで政策を据え置く戦略を維持するだろうが、今後のインフレの進展で判断していく姿勢を見せた。もし、インフレが持続的に上昇する自信が持てれば一段の利上げが正当化されると指摘。多くの人が予想している通り、インフレが上昇した場合、必要とあれば2018年にあと、3回、4回の利上げも容易だろうと言及。今年の米国経済には勢いがあるため、成長見通しに一致し、失業率が2020年までに3.5%まで低下すると見ている。また、インフレが上昇する兆候があると指摘した。同総裁は通常、ハト派として知られ、昨年12月の利上げにも反対票を投じた。

FOMCメンバーは今のところ、市場の混乱を受けて経済や金利見通しを変更する必要はないと見ているようだ。FOMCの緩やかな利上げは維持される可能性が強い。2月28日に予定されている初めての議会証言で、パウエルFRB議長の見解を確認していく。《CS》

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