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双極性障害とうつ病では前頭葉の体積が違う、山口大学などの研究
研究に関する図。(画像:国立精神・神経医療研究センター発表資料より)[写真拡大]
MRIを利用した研究によって、双極性障害の患者の脳とうつ病の患者の脳とでは、体積に違いがある、という事実が明らかになった。山口大学、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)、日本医療研究開発機構などの共同研究によるものである。
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結論を最初に述べると、前頭葉、すなわち感情や思考を司る脳の部位の、その中でさらに背外側前頭皮質、前帯状皮質と呼ばれる部位において、双極性障害の方がうつ病よりも小さい、ということが明らかになったという。
双極性障害は、うつ状態と躁状態の相互遷移を生じる精神病の一種である。一方、うつ病はうつ症状を呈する疾患であって、躁エピソードを示さない。研究・診断の歴史においては長く複雑な関係があり、混同されていた時代もあったのだが、現在では、「相互にまったく異なる疾患である」という見解が定着して久しい。ただし、そうはいっても症状そのものは大きく重なるため、正確な鑑別には今もなお優れた精神科診断医学の力が求められる。
であるからして、この2つを客観的に明瞭に区別するための生理的指標の確立は以前から強く求められるところであった。MRIを用いて両者を比較する、という研究は、これまであまり行われてきていなかった。それを行ったのが、今回の研究である。
今回の研究では、双極性障害の患者、うつ病の患者、そして健常者、合計1,531人のサンプルが集められ、そのMRI画像が詳しく分析された。結果として、前述のような事実が明らかになったというわけである。
今後、今回の研究の結果をもとに、頭部MRI検査を使用した、新たな診断法や治療法が開発されていくことが期待される。
なお、研究の詳細は、英国の科学誌『Cerebral Cortex』にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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