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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆まだオーバーランの範囲内◆
*10:05JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆まだオーバーランの範囲内◆
〇SQ後に真価問われるイメージ継続〇
昨日の日経平均は予想上回る上げっぷりで、1996年のバブル崩壊後高値(22666円)を一気に抜いた。ドル建て日経平均高値は201.10ドル(終値200.96ドル)と大台に乗せた。この上は、25000円前後、30000円乗せ水準に揉み合い局面があるだけで、目標値となる高値は1989年末の38915円まで跳ね上がる。チャート上は一気に強気の見方が増えてもおかしくないが、先導するNY株が小幅高値更新基調にあるので、実際は高値攻防の持続性を問う流れと考えられる。結果的に、トヨタまで上方修正したので、企業業績上振れを好感した相場との位置づけになろう。
昨日の日経平均上昇率1.73%に対し、TOPIXは1.15%。日経平均先物ないしはオプション攻防による大幅高の印象は拭えない。今週末にオプションSQを控え、通常水曜日に繰り広げられるポジション調整が一日早く行われた観がある。日経平均寄与度を見ると、ファーストリテイリング48.61円を筆頭に、ファナック、京セラ、日東電工、それに大きく切り返したソフトバンク株の5銘柄合計で132.10円、日経平均上昇幅389.25円の33.9%を占める(上昇率で0.6%相当)。想像以上に売り方が慌てた(コールオプションの売り方)印象だ。
通常だと、この部分はSQ通過前後に剥落する。月曜朝の段階では、SQ通過後に調整が有り得ると考え「週末警戒の再燃リスク」としたが、相場には需給要因とは言え、勢いが付く場合があるので、流動性の高い相場となるか出来高が注目される。日銀が売りに回らなくとも、冷やし玉は政府が持っている。過去に預金保険機構が買い取った分がどうなっているか分からなかったが、「銀行等保有株式取得機構」の保有残高が16年度末で1兆5510億円(うち製造業が7971億円、金融・保険業が2765億円など)ある。16年度売却実績570億円のうち550億円が自社株買い対応なので、時間を掛けて処分する方針は変わらないであろうが、財政赤字が酷いと言うのであれば、機敏に対応してもおかしくない。
材料なき上昇局面は米株にも共通しているので、1990年代からの日本株出遅れ修正との見方になろう。総選挙後、与党大勝相場と言う意味では、12年末および14年末後の相場が参考になるが、12年末は方向転換相場なので、類似性は14年末後が高い。この時は日銀のハロウィン緩和(14年10月末)が発射台となり、12月総選挙で弾みをつけて15年6月まで上昇した。出発点は14年10月14532円(13000~16000円ゾーンの中間点)、フシ目と見られた19000円を突き抜け、高値は20868円まで上昇した。16000~19000円ゾーンへのシフトと考えた相場は、結果的に1800円強オーバーした局面(その後、16年に14952円まで調整)。
今回、依然として、大きな枠として19000~22000円ゾーンに居ると見ると、23800円程度がオーバーランの許容範囲内と考えられる。この場合、15年チャイナ・ショック、16年ブレグジットのような想定外の出来事があれば、2万円割れの調整が有り得るとの見方になる。一方、22000~25000円ゾーンに順当に切り上がったと見ると、中間点23500円前後の揉み合いが重要になる。調整場面では22000円割れがあっても、深押しはないとの見方になる。まだ日柄が乏しく、判断は時期尚早と思われるので、懸案事項であるトランプ-習近平会談を軸に、米中情勢、北朝鮮情勢を見極めて行きたいところだ。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/11/8号)《CS》
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