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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆週末警戒は再燃するか◆
*09:40JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆週末警戒は再燃するか◆
〇北朝鮮軸に高値警戒の強弱探る〇
三連休は、数多くのイベントがあったが、全体として無難に乗り切ったようだ。英10年ぶり利上げ、パウエル次期FRB議長指名、米10月雇用統計、共和党減税案提示、米9月貿易統計などがあった。一瞬、グラつく場面もあったが、概ね、為替安定、株高基調維持となった。連休中は、イバンカ、トランプ来日報道が前面に出た。
大きな課題である北朝鮮問題は、日本との協議は問題なく、8日の韓国、9-10日の中国との協議で緊迫感が高まると考えられる。韓国はトランプ来韓日程に文句を言い、反トランプデモを行い、THAAD追加配備を行わない方針を示し、文大統領は戦争回避方針を表明した。言を左右する側面もあって、スッカリ信頼関係は揺らいでいる。トランプ大統領の言動次第で、緊迫感が一気に高まる可能性がある。中国は今のところ目立った方針は示していないが、通商問題や海洋進出問題などと絡め、米中対立が深刻化するリスクがある。具体的な想定はできないが、市場に失望感が出れば、高値警戒ムードに転化する恐れがある。
米雇用統計は26.1万人増、市場予想の31万人増を下回ったが、9月分が3.3万人減から1.8万人増に5.1万人分上方修正されており、予想の範囲内。失業率が0.1ポイント低下の4.1%、17年ぶりの低水準で、賃金は抑制されたが、12月利上げシナリオは変わらなかった。JPモルガンは来年利上げ予想を年3回から4回に引き上げた。前月比小幅赤字増となった9月貿易収支とともに、大型ハリケーン被害を乗り切り、順調な推移と受け止められる。高級モデルiPhoneXの出足好調で上げたアップル株が支えた。
ただ、週明け、ダドリーNY連銀総裁の早期退任意向が伝えられた。NY連銀総裁はFRBのNO3的存在で、イエレン議長、フィッシャー副議長とともに、3トップが一斉に交代することになる。不安心理を揺さ振らないと良いのだが。新たに、「パラダイスペーパー」(タックスヘイブンに関する新たな文書)が一斉に報じられた。ロス商務長官が大きな槍玉に挙がっており、新たな「ロシア疑惑」(ロス氏が実質的に出資する海運会社がプーチン大統領親族らが役員を務める企業との取引で巨額収入)と報じられている。
ソフトバンク株を注視したい。「パラダイスペーパー」で名前が出てきている上、米スプリントの合併失敗、サウジの混乱(反皇太子派と見られる勢力の一斉検挙。このなかに、ワリード王子が含まれ、米シティ、ツイッターなどの株式波及懸念)などの要素が重なっている。日経平均に影響力あるだけに、左右する要素だ。
他にも、WTI原油相場が55ドル/バレルの壁突破(2年4か月ぶり高値の55.64ドル)、米半導体大手ブロードコムがクアルコム買収検討(実現すれば10兆円超の規模)、米減税案の議会審議動向、日本企業第2四半期決算後半戦など展開材料が多い(方向感は定まらない)。
形の上では、日経平均22000~25000円ゾーンにシフトしてきているが、一本調子に上昇して行くと見るよりは、下値確認が必要との見方を取る。相場イメージとしては、1996年高値22666円を一旦上抜いた後の調整が望ましいが、背伸びし過ぎた場合の反動は大きくなる傾向がある(15年高値後の16年安値はブレグジットが重なり、想定を下回った)。現状では押し目は21500円前後と見るが、一段高の場合は20500円程度に替わる公算がある。次の一服場面(個別物色は継続)を注視したい。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/11/6号)《CS》
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