【日産、新型「リーフ」(上)】新車検査不正の中で…試乗してみた!

2017年11月2日 11:16

印刷

新型「日産リーフ」。(写真: 日産自動車の発表資料より)

新型「日産リーフ」。(写真: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]

 EVブームがやってきた中で、日産は「新車検査」で不正が発覚し、新車発売時期に水を差してしまった。売れ行きが止まってしまっているようだが、注目の新型リーフの出来を試乗して確かめてみた。

【こちらも】日産、新型「リーフ」性能アップでEV大衆化へ加速か? 購入時の注意事項

 EVブーム、AIブームの中で、「品質」の話を持ち出すのは難しかったのだが、冷静になって「これまでのパッケージ」とどのような違いが出てくるのかと、まず考えてみる。EVと言っても新型リーフではパッケージングの基本は変わらない。常識的な5人乗りのセダンだ。夢のようなパッケージング、デザインが注目されているが、安全性について、搭乗者、歩行者の両方の観点から考えると、基礎はこれまでの蓄積と大きく変えることは許されない。

 例えば、EVと直接の関連性はないが、AIでレベル4の自動運転に出来たとして、運転席を回して進行方向に対して斜めにすることが語られている。しかし、これはシートベルトをしていても危険で許されないであろう。衝撃があったときベルトで怪我をしてしまう可能性が高いからだ。

 日産・新型リーフはEVであることとAI自動運転車として、最新鋭のトヨタが言うところの「運転支援システム」をつんできている。緊急ブレーキ、前車追従システム、後部側方警戒ミリ波レーダーなど安全を確保できるシステムだ。これに頼り切ることはテスラのような重大事故につながるが「運転支援」と考えれば、とても有効だ。

 バックミラーも後方モニターカメラに切り替えられて、さらに、サイドビューとワイドビューに切り替えが効く。最近の車の常だが、電子、電気仕掛けが多く装備され、大変便利になってきている。新型リーフにも縦列駐車が自動的に行えるシステムなども装備され、女性にとっては大変便利だ。しかし、短時間でこれらの操作になれることが出来ず、切り替えが出来ない。この操作性を何とかしないと試乗したとたんに、購買意欲がなえてしまうかもしれない。

 日産・新型リーフの運転席に座ったとき、一番先に「立派な実用セダンだ」と感想を持ち、次に「操作が面倒」と感じ、最後に「間違えるかも」と感じて、購入意欲は少しなえてしまった。

参考: 【日産・新型リーフ試乗記】新車検査不正の中で…! EVはブームに終わるのか?(知恵の輪サイト)

 コンセプトカーでは許される夢を追いかけたパッケージング、レイアウトは、現実に走る車の安全性においては、操作性の難しさを含めて、禁止されてしまうはずだ。また、現在のガソリン車・ミニバンでも、斬新なデザインは出来るはずだが、安全性のため出来ないのだ。止まっているときは可能だろう。こうして様々な夢が語られて、ブームは起きる。

 また15~20年近く前、燃料電池車(FCV)については「究極のエコカー」として語られ、ちょっとしたブームだった。世界各国の自動車メーカーが競って開発にあたり、巨大な開発費が必要であると言われる中、自動車業界全体で合従連合が始まると言われていた。しかし、トヨタが開発に成功して販売が始まると普及が進まず、特許を開示して世界的な普及を促すこととなってしまった。

 水素は、現在のところ造るときに電力が必要で、「必ずしもエコではない」と言われているのだ。その背景には、「石油から水素を作る」など、相変わらず石油業界の利権が絡んでいたのだ。将来は海水からも作ることが出来るとされていたが、それなら水素を媒介とせず直接EVとすればよいのだ。これには、日本国のエネルギー政策や石油産業の衰退が考えられ、世界的に産業構造の変革が起きて、世界経済を変えてしまう内容があった。

 今回のEVブームは、製造業の地殻変動を起こす可能性があり、失業者が多く出ることが予測されている。日産自体、関連企業の入れ替えが起き、日本社会に多大な影響を及ぼすことになる。EV、AIの普及は「失業者」の問題が起きてしまう。現在、銀行業界のリストラが始まったが、これが現実だ。自動車業界もEV、AIで浮かれている状態ではないのだ。「失業者」を何とかしないと日本にも「ラストベルト」が現実に出現してしまう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続き:【日産、新型「リーフ」(中)】実像はタウンカーか?乗ってみた

関連キーワード

関連記事