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【マツダ提唱:油田から車輪へ(Well to Wheel)】ガソリンエンジンは消えず
「SKYACTIV-X」(写真: マツダの発表資料より)[写真拡大]
「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)を総合してCO2削減を見なければならない。つまり発電でCO2を大量に排出しては、EVで何にもならないと言うことだ。ガソリンの熱効率が向上していけば、火力発電などと比較すると逆転することが考えられる。発電が自然エネルギーで行われなければ、自動車がEV化しても元も子もない。個別発電の方が災害などに強いのであり、高圧電線の維持など配電ロスも考えなければならない。
【こちらも】【マツダ・SKYACTIV-X・新エンジンEVを駆逐するか?】SPCCIで燃費3割改善
マツダはガソリンエンジンの効率化を進めてきた。スカイアクティブXは、技術者にとって夢の技術だ。これを「こだわりの失敗の元」と見るのか「隠れたヒット作」と見るのかはまだ分からない。
マツダのスカイアクティブXはディーゼルエンジンの圧縮爆発と、ガソリンエンジンの火花点火の両方を取り入れている。圧縮による自然発火の良いところは、燃焼室全体で発火することだ。プラグの点火火花から燃焼室に広がる爆発より、圧縮自然発火なので燃焼室全体で同時に発火するため、爆発力が強く、薄燃焼が出来る。燃焼効率が良いのだ。
そのため燃費節約に寄与するのだが、エンジンの負荷が大きい時などノッキングを起こしやすい。その時、圧縮比を下げると発火しなくなる。そこでプラグでの着火が行われて補うことになる。これを連続して滑らかにできたのが、このシステムの素晴らしいところだ。これで30%の燃費改善が出来ていると言う。
「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)を総合してCO2削減を考えるとき、ガソリンエンジンで、どれほど熱効率を上げればよいのかは明確になっていない。現状の中国の石炭発電では、おそらくは話になるまい。日本の低公害石炭発電でも、現状のガソリンエンジンよりは良いようだ。おそらくはガソリンエンジンは、もう40%ぐらいの熱効率の改善が必要なようで、60%の熱効率を目指すことになろう。すると、既に60%以上の熱効率が出る燃焼方式があるのは分っているので、問題は実用時期となる。
マツダがエンジンの熱効率を求め続けている一方で、EVももう一段バッテリーの進歩が待たれるようだ。現在のリチウム電池ではなく「トヨタの全個体電池」などの実用化は数年で可能と言う。すると、1充電で可能になる走行距離がガソリン車と変わらなくなり、それと何よりも充電時間が、現在の30分で80%程度が数分で可能となる。この数分で充電可能になることで実用化のメだが立つ。
【参考】【2020年トヨタのEVデビュー】充電数分・出力2倍、「全固体電池」開発に成功?
もう一つ、EVは必ずしも現在の自動車に替わる必要はない。現在、中国などで造られている、数十キロしか走れないが、安いEV。タウンカーとしては十分な性能であり、何より安く家電のように使い捨てが出来ることになる。数十万円のタウンカーである。インド、東南アジア諸国、アフリカ、中国などでは、中心となりえる価格帯だ。
日本などでは「ゴルフカート」と間違えるくらいのタウンカーで、やはりバイクの替わりになるほどの使いやすさと安さがほしい。市場性はあると思うが、安全性が問題だ。ゴルフカートが道中を走るとなると、現在の安全基準には適合できない。しかし、かなり有望な市場だ。2台目の車としてはあり得ることとなる。世界では主力市場となる可能性がある。
いずれにしても、もう一段バッテリーの進歩が必要だ。EVについてはAI自動運転と混同せずに見守りたいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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