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太陽系外縁の準惑星ハウメアに輪があったことが明らかに
太陽系のイメージ図。右端中央にハウメア(Haumea)が描かれている。[写真拡大]
冥王星の近くにある太陽系の準惑星ハウメアに、天体の破片もしくは氷の粒子でできた幅70キロメートルの輪があったことが発見された。スペイン・アンダルシア天体物理学研究所を中心とした欧州の研究チームが、英科学誌ネイチャーに発表した。
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準惑星ハウメア。冥王星、エリス、ケレス、マケマケと並ぶ5つ目の準惑星であり、楕円形をしている。太陽からの距離は約80億キロメートル、公転周期は285年。衛星は2つある。自転速度がかなり速く、これはかつて大規模な衝突を経験したためであろうと言われている。また、輪ができたのもその衝突の際ではないかと推測されるところである。
もっとも古い観測記録としては1955年にパロマー天文台で観測されたことがあるが、このときは「発見」には至らなかった。発見の報告が行われたのは、2005年のことである。
小惑星で輪を持つ天体の例は2つ(カリクローとキロン)知られているが、準惑星、ならびにカイパーベルト(海王星以遠の、氷の天体が密集する領域)の天体の中では初めてであるという。
ハウメアにおける輪の発見により、カリクローやキロンの輪もさほど珍しいものではなく、輪を持つ天体は無数に存在するのではないか、という示唆がもたらされることになった。
今回の発見は、そもそも、ハウメアの大きさや形を調べようとして偶然見つかったものであるという。「小規模の天体にも、予測を覆して輪が存在する可能性がある」というのは、小さな問題ではない。今後の小惑星探査などに様々な影響を及ぼす可能性があるからだ。
現状、ハウメアの輪に接触する危険のある宇宙探査機などは無いというが、今後の遠宇宙探査計画などには、今回の知見が何らかの形で反映されることになるかもしれない。
いずれにせよ、宇宙というものはまだまだ、人類にとって未知の領域であるようだ。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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