ヤマハ、立体音響プラットフォームを開発 カプコンがVRゲームで採用

2017年9月24日 07:32

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立体音響イメージ(写真:ヤマハ発表資料より)

立体音響イメージ(写真:ヤマハ発表資料より)[写真拡大]

  • 「ViReal Mic」(写真:ヤマハ発表資料より)

 ヤマハは22日、仮想現実(VR)コンテンツなどとの相性に優れた立体音響技術「ViReal」(バイリアル)による3Dヘッドホン再生技術を、2018年1月より提供すると発表した。これに先立ち、カプコンが12月14日に発売する「バイオハザード7」と2018年1月26日に発売予定の「モンスターハンター」で本技術が採用される。

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 VRや拡張現実(AR)を進化させた技術に複合現実(MR)がある。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが次世代のプラットフォームと言及した技術である。これは、SF映画に登場するホログラムのような3D映像を実空間に投射するものだ。例えば、米国で開催しているライブ空間を、自分のいる現実の空間で共有する。しかも、ゴーグル型の端末も必要ない。

 今回、ヤマハが発表した立体音響技術は、VR、AR、MRでの活用に加え、通常の音響収録や再生にも活用可能な技術だ。立体音響のプラットフォームを構築し、聴くVRや聴くMR市場を形成し、全方向から聴こえる音での臨場感や没入感をユーザーに与える意図であろうか。

●立体音響とは

 立体音響とは、ライブ会場や音楽ホールなどの特定の場所での音環境を立体的に再現する技術である。実際の場所で聴く音環境では、音源から発せられる音波が、球面上に広がり、他の音と重なり合いながら視聴者の耳元へ届く。音が発生してから空気中を伝播し耳元に届くまでの音の変化を、忠実に再現することがキーである。

 ところが、頭や耳の形状は個人差があり、音を聴くポイントも人それぞれだ。つまり、一般的な解がない。そのため、約100人の耳・頭部の形状を独自に収集、解析、学習することで独自の頭部伝達関数を開発。あらゆる方向への滑らかな音源移動によって圧倒的な立体サウンドを実現したという。

●立体音響技術「ViReal」の構成

 ViRealは、360°の音を扱う立体音響を、4つの技術の組合せで実現している。

 ・ViReal Micは、全方向の音を方向の情報を保ったまま一度に64チャンネルで録音
 ・ViReal Sound Engineは、立体音響への変換と立体音響のままのミキシング・編集
 ・ViReal Speakersは、スピーカの数や位置に応じたリアルタイムなレンダリング
 ・ViReal Headphoneは、独自の頭部伝達関数を用いた高品質サラウンド音響

●立体音響(ヤマハ、ViReal)のテクノロジー

 ゲーム大手のカプコンが、主要なVRゲームに採用したことは、映像に加えて、音の臨場感と没入感でさらなる感動をユーザーに与えようとしたのであろう。

 ゲームのみならず、臨場感を得たい音空間を作成するプラットフォームに仕上げていることがミソであろうか。そして、音の方向を保ったままの64チャンネルで録画、立体音響でのミキシング、独自の頭部伝達関数を用いた高品質サラウンド音響が各独立な要素となっている。

 聴くVRのみならず、聴くMRでも活用の場が広がっていく可能性の高い技術である。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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