北朝鮮リスクに揺さぶられた一日

2017年8月9日 19:39

印刷

記事提供元:フィスコ


*19:39JST 北朝鮮リスクに揺さぶられた一日

■本日の日経平均株価終値

前日比257円30銭安 1万9738円71銭

□その他の指数
TOPIX1617.90前日比-17.42
東証2部指数6432.08前日比+11.11
東証マザーズ1090.00前日比-27.72
東証ジャスダック3324.60前日比-20.50

本日の日経平均株価は大幅に反落、北朝鮮と米国による挑発的な発言が相次いだことから市場関係者は地政学リスクの高まりを受け、朝方から売り優勢の展開。相場にとって値の重い材料が相次ぎ、為替は一時109円台を覗かせるなど外部環境の悪化が嫌気されました。直近まで材料のない相場が続いていたため、悪材料の噴出が一気に相場の心理を冷やしたものと見られます。取引時間中には北朝鮮がグアムの米軍基地を攻撃するなどの発言を行った他、米軍はフィリピンの南部で続いているISIS(イスラムテロ組織)との紛争で、空爆を検討していると報じ、新興国地域全域に暗い雰囲気が漂いました。東証1部の値上がり銘柄数は286銘柄、値下がりは1657銘柄、変わらずは77銘柄。東証1部の売買代金は2兆6976億円、出来高は20億6631万株となりました。

■本日の日経平均テクニカル分析

日経平均株価は大幅に下落、長い膠着相場の末に下落という形を示したことから、チャート上は下落方向に勢いが付いてしまいそうな形状となりました。75日線を下回ったのは3月以来となり、そのご約1ヶ月で回復。日足では相場の崩れが見られるものの、週足や長期足チャートで俯瞰してみると、まだ下値の支えが効いてくる抵抗帯が控えます。一過性のリスクオフを逆手に取った買い場探しという目線も当然必要になってくるでしょう。

■本日動いた注目の銘柄群

<4080>田中化学研究所

8日発表の2018年3月期第1四半期単体決算で営業利益が2億5900万円と黒字転換。ニッケルとコバルトの相場上昇や受注回復などが利益押し上げ要因となりました。前年同期の営業損益が5100万円の赤字だっただけに業績回復がマーケットに好感されこれで4連騰。一時1426円まで買われる場面もあり7月27日に付けた年初来高値1375円を更新しています。最終利益も2億0900万円と通期計画を超過しており増額修正期待も。押したところの買い場を伺いたい場面です。

<9941>太洋物産

8日引け後に今2017年9月期業績予想の上方修正を発表、買い材料視されました。主力の牛肉や、中国産の加工食品は不調となったもののスペイン産の豚肉が業績に寄与し、前期4億3400万円の赤字だった営業利益を従来の2億7200万円から4億6000万円予想に引き上げ。この報道が好感され前日比150円ストップ高となる988円での買い気配が続いています。
本日の上昇により日足一目均衡表の雲を上抜け。ボラタイルな動きに注意しながら検討したいところ。

<6844>新電元工業

8日発表の2018年3月期の上期と通期の連結業績予想を増額修正。上期の営業利益は従来予想の8億円から34億円と前年同期比2.6倍水準に。また通期の営業利益は32億円から58億円としたことで前期比13.7%増を見込んでいます。半導体需要が好調だったことや想定レートよりも円安で推移している為替などが業績に寄与している模様で本日は一時前日比100円高の690円ストップ高までありました。マドを空けての上昇となりましたので、飛び乗るよりは様子見がベターか。

<8154>加賀電子

2018年3月期第1四半期の連結決算で営業利益は前年同期比2.7倍の20億8800万円、純利益は同25.3%増となる17億5000万円に。情報機器事業で住宅向け関連商材が堅調だったほか国内外での電子機器向け製造受託サービスの伸長が業績に寄与。第1四半期の営業利益が通期の77.3%の進捗率に達していることから通期増額期待も集め急反発、7月26日に付けた年初来高値2497円を一気に更新しています。急伸後利益確定に押され検討なら割り切りも必要となりそう。

<4524>森下仁丹

2018年3月期第1四半期連結決算で営業利益は前年同期比2.8倍となる2億1500万円、純利益は同3.6倍の1億4700万円と急拡大したことが好感され一時635円まで買われました。効率的なプロモーション活動やコストダウン、機能性素材が好調だったことなどですでに上期営業利益計画6000万円を超過した上、通期営業利益計画5億円に対しても進捗率が43.0%に達しており増額期待も集めています。上げ幅を大幅に縮めて本日の取引を終えていますので足元では注視しておく程度がよいかもしれません。
<8282>ケーズホールディングス

8日の取引終了後、2018年3月期の第1四半期連結決算を発表。売上高は前年同期比1%増の1520億円に留まったものの純利益は同2倍の47億円となったことが好感された模様。4K対応テレビへの買い替え需要や節電・省エネ対応の冷蔵庫や洗濯機などが追い風となりました。通期純利益予想に対する進捗率は25%強としているものの第1四半期の収益比率は低めであることから増額修正に期待した資金が流入しているとも。また野村証券は8日付けで「買い」の投資判断を継続、目標株価を従来の2800円から3000円に引き上げています。はっきりと一目均衡表の雲を突破したため押したところで買い場を探すのもよいでしょう。

<4109>ステラケミファ

8日引け後に発表した今2018年3月期の第1四半期連結決算が買い材料視され一時は値幅制限いっぱいまで買われる場面がありました。併せて通期の業績予想を上方修正しており通期の売上高は前期比12%増の304億7200万円から333億円に、当期純利益は同17%増の24億9700万円から33億円としています。半導体市場が活況で海外向け半導体液晶部門の出荷増が寄与。PERも11.7倍に低下したことから割安感も。本日急騰し高値引けとなりましたので焦って乗るのは禁物、まずは値動きを追いたいところです。
<3655>ブレインパッド

8月9日大引け後に17年6月期の連結決算を発表。経常利益では前期比37.8%減の1億4300万円となったものの翌18年6月期には前期比2.1倍の3億円を計上する見通しとなりました。12期連続増収になる直近3か月の実績である第4四半期売上営業利益率は前年同期の1.5%から3.0%に上昇。本日はすぐ上に控える一目均衡表の雲が意識され上値は1200円に留まりました。目先では雲の上抜けを目指して監視をしたいところです。


【ニュース提供・エムトレ】《SK》

関連記事