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パナソニック、AIを活用した居眠り運転防止技術を開発
コックピット搭載イメージ(写真:パナソニックの発表資料より)[写真拡大]
ドライバーと自動車のインタフェースはAIの活用で日々進化する。居眠り運転防止の技術が産学連携で開発されている。
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パナソニックは27日、快適にドライバーの覚醒状態を維持させるための眠気制御システムを開発したと発表した。仕組みは、カメラ画像から測定した、瞬き、表情などをAI処理することにより、初期段階の浅い眠気を非接触で検知する。加えて、人の放熱量や照度といった車室内環境の計測データを用いて、以後の眠気推移を予測。さらに人の温熱快適性のモニタリングを併用することで、目的地まで快適に覚醒状態を維持させる眠気制御が可能にするという。
本システムは、10月よりサンプル対応を開始する。車載以外では、オフィスや教育機関向けも想定しているようだ。
●眠気制御システムの仕組み(特許22件を取得)
眠気制御には、快適眠気制御と緊急眠気制御を設けている。快適眠気制御は、空調などで空間を制御し覚醒状態の維持やナビ情報から休憩場所を提案する。緊急眠気制御は、アラートや休憩を指示する仕組みである。
先ず、眠気の感知では、ドライバーのカメラ画像から、瞬目・表情などを非接触で高精度に検出して、ドライバーの眠気レベルを推定するAIを開発した。眠気と瞬目・表情などに関する計測結果をデータベース化し、瞬目・表情などに関する約1,800のパラメータと眠気の関係を生理学的見地に基づき分析して、眠気レベルを推定するという。
次に、人体からの放熱量が、所定時間経過後の眠気と関係性があることに着目。そして、赤外線アレイセンサ「Grid-EYE」を用いて、人の体からの放熱量を非接触で計測。併せて、環境センサで計測した周囲の明るさと、時間経過が眠気に与える影響も加味するという。
最後に、人の温冷感、温熱快適性を計測し、快適に覚醒状態を維持する。温熱環境と生理学の知見を応用し、快適な温冷感推定技術を開発したという。「Grid-EYE」で人の温熱快適性を常時モニタリングしながら、空調など最適な手段を選択することで、快適に覚醒状態を維持させるという。
●眠気制御(パナソニック、眠気制御システム)のテクノロジー
センシングには、カメラ、赤外線アレイセンサ、環境センサ、カーナビ(到達予測時間)を用い、制御にはエアコン(風速、風温)を想定する。赤外線アレイセンサ「Grid-EYE」は、人や物体が放射する10ミクロンメータ帯の赤外線を検知する64画素のセンサで、約7,800画素相当の鮮明な熱画像を得るという。
産学連携成果の活用は、研究開発における有用な方策である。眠気表情の分析は、大原記念労働科学研究所との共同研究であり、眠気レベルを5段階で表現するAIを開発した。人体からの放熱量と所定時間経過後の眠気との関係性は、千葉大学との共同研究である。覚醒状態の維持は、奈良女子大学との共同研究であり、予測した眠気レベルに応じて温度や風量を制御する仕組みに組み入れている。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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