NYの視点:今週の注目:イエレンFRB議長の議会証言、ベージュブック、CPI、PPI

2017年7月10日 09:12

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記事提供元:フィスコ


*09:12JST NYの視点:今週の注目:イエレンFRB議長の議会証言、ベージュブック、CPI、PPI
今週は連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の半年に1度の議会証言や次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策決定材料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)に注目が集まる。最近のインフレ率の低迷が懸念される中、生産車物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)に注目される。

イエレンFRB議長の議会証言に先駆けて公表された金融政策報告では新たな政策変更へのヒントはなかった。報告によると、経済は2つの責務において期待通りに展開。緩やかな利上げを継続する方針を繰り返した。また、FOMCの声明で言及したとおり、現行4兆ドル規模の保有資産の緩やかな縮小を年内にも開始するとした。

米労働省が発表した6月の雇用統計は、雇用の伸びが予想外に20万人を上回るポジティブサプライズとなった一方で、賃金の伸びが予想を下回るなど強弱まちまちとなったが、年あと1回の利上げ、早くて9月FOMCでの保有資産縮小開始の思惑を覆すような内容ではなかった。

6月の労働市場指数やJOLT求人指数で労働市場のたるみ具合を探る。6月の労働参加率が62.7%から予想外に62.8%へ上昇したことはプラス材料。一方、不完全失業率(U6)は62.8%と、景気後退、金融危機前2007年以降10年ぶりの低水準となった5月から上昇した。スラックの改善はFOMCの緩和解除の政策を後押しする。

ジャナス・ヘンダーソン・グローバル・インベスターズのビルグロス氏は米10年債利回りで2.65%近辺が鍵となり、この水準を突破した場合債券相場が弱気相場入りすると指摘。また、金利の一段の上昇を予想している。さらに、新債券王としても知られるダブルライン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)ガンドラック氏は雇用統計の結果はFOMCの四半期ごとの0.25%の利上げを正当化すると述べ、年末にも10年債利回りは3.0%に達すると見ている。

欧米の中央銀行が緩和策解消の基調にある一方で、日本銀行は金融緩和の一環として10年債の金利をゼロ%程度に誘導する政策をとっている。最近の世界的な金利上昇を受けて、日本の債券利回りも急伸。金利の抑制を目指し、臨時の国債買い入れと、定例の国債買い入れの増額を同時に実施した。欧米と日本の金利差拡大観測を背景に、円安が一段と進む可能性がある。


■今週の主な注目イベント

●G20サミット
7−8日:ドイツ、ハンブルグ、メルケル首相が主催

●米国

10日:ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁が講演、6月労働市場指数(5月2.3)
11日:ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事が講演、5月JOLT求人(5月
604.4万人)
12日:イエレンFRB議長の下院議会証言、ベージュブック、ジョージ米カンザスシ
ティー地区連銀総裁が講演、
13日:イエレンFRB議長が上院銀行委で証言、エバンス・シカゴ連銀総裁が講演、6
月PPIコア:予想:前年比+2.0%、5月+2.1%
14日:カプラン米ダラス連銀総裁が講演、CPIコア:予想:前年比+1.7%(5月1.7%)

●地政学的リスク

ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ《CS》

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