NYの視点:米6月雇用統計:スラック、賃金動向に焦点

2017年7月7日 07:42

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記事提供元:フィスコ

*07:42JST NYの視点:米6月雇用統計:スラック、賃金動向に焦点
米労働省が発表する6月雇用統計は、米国の労働市場が最大雇用の水準にあることを再確認すると見られる。今後の米国の金融政策決定で鍵を握る雇用統計の6月分で、失業率は4.3%と5月と同じく16年ぶりの低水準を維持する見込み。非農業部門雇用者数も17.8万人増と、5月の13.8万人増から伸びが拡大すると見られている。

雇用統計の先行指標の中で、最も相関関係が強いと見られる米国の民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の6月分は前月比+15.8万人と、伸びは予想+18.8万人を下回り、5月+23.0万人から鈍化。昨年10月来で最低の伸びにとどまった。雇用統計の非農業部門雇用者数の伸びが鈍化する可能性も否めない。

しかし、FOMCメンバーは20万人を超える雇用の伸びは持続不可能で、伸びの鈍化はむしろ労働市場が完全雇用に達した証拠となる能性が強い。このため、伸びが予想を下回っても、FOMCの利上げ軌道を変更する可能性は少ないと考えられる。問題は労働市場のスラックの改善が継続し、インフレが低迷する中、賃金の伸びに改善が見られるかどうかだ。

FOMCメンバー、市場エコノミストは米国の経済がFRBの責務目標である最大雇用をほぼ達成したとの見解で一致。労働市場のスラックも解消しつつある。前月の不完全失業率(U6)も、景気後退、金融危機前2007年以降10年ぶりの低水準に戻した。ただ、強い雇用が賃金インフレの圧力となっている兆候は見られないほか、労働参加率は低下基調を続けていることは引き続きマイナス材料となる。

労働市場のたるみが前月に続き解消し、賃金の伸びに一段の拡大が見られると、年内の追加利上げを後押しし、ドル買いに繋がると考える。逆に賃金の伸びが予想に満たない場合、低インフレが一時的でない可能性を強め、年内の利上げ観測が後退。ドル売りが強まる可能性がある。

■6月雇用統計の先行指標

・米・ADP雇用統計:+15.8万人(予想:+18.8万人、5月:+23.0万人←+25.3万人)


・米ISM製造業指数雇用:57.2(5月53.5)

・米ISM非製造業指数雇用:55.8(5月57.8)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):7.7(5月11.9)
週平均就業時間:8.5(5月7.5 )

6か月先
雇用:12.3(5月17.2、6か月平均20.0)
週平均就業時間:-5.4(5月5.2、6か月平均11.3)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):+16.1(5月+17.3、6ヶ月平均+15.8)
週平均就業時間:+20.5(5月+21.7、6か月平均+16.7)
6か月先
雇用:30.0(5月29.2、6か月平均33.7)
週平均就業時間:8.4(5月0.3、6か月平均14.8)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):5(5月6)
週平均就業時間:-5(5月-3)
賃金::9(5月23)

6か月先
雇用(現状):31(5月20)
週平均就業時間:16(5月8)
賃金::34(5月32)

・消費者信頼感指数

雇用(現状)
十分:32.9(5月30.0、前年同月23.2)
不十分:49.2(5月51.7、53.1)
困難:18.0(5月18.3、23.7)

雇用(6か月先予想)
増加:19.3(5月18.6、前年同月13.9)
減少:14.6(5月12.1、前年同月17.7)
不変:66.1(5月69.3、前年同月68.4)

所得(6か月先予想)
増加:22.2(5月19.1、前年同月18.2)
減少:9.2(5月8.7、前年同月11.3)
不変:68.6(5月72.2、前年同月70.5)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数

07/01/17 248,000 4,000 243,000
06/24 244,000 2,000 242,250 1,956,000
06/17 242,000 4,000 245,000 1,945,000
06/10 238,000 -7,000 243,250 1,942,000
06/03 255,000 20,000 239,750 1,929,000
05/27 255,000 20,000 239,750 1,929,000

■市場予想
失業率:4.3%(5月4.3%)
非農業部門雇用者数:前月比+17.7万人(5月+13.8万人)
民間部門雇用者数:前月比+17万人(5月+14.7万人)
平均時給:前月比予想+0.3%(5月+0.2%)《CS》

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