商船三井ら、AI活用の自律貨物船を開発へ

2017年6月24日 13:45

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記事提供元:エコノミックニュース

商船三井、三井造船ら7団体で構成された研究コンソーシアムによって、航海士なしで貨物船舶が自律運行する技術の開発が進められている

商船三井、三井造船ら7団体で構成された研究コンソーシアムによって、航海士なしで貨物船舶が自律運行する技術の開発が進められている[写真拡大]

 商船三井、三井造船ら7団体で構成された研究コンソーシアムによって、航海士なしで貨物船舶が自律運行する技術の開発が進められている。5月には同コンソーシアムが共同で取り組む研究課題が、国土交通省が主催する推進制度に採択された。同研究では自律貨物船運行に必要となる技術の開発ロードマップを策定し、これに則った技術開発と社会実装に向けたインフラ・制度整備を促す。

 自律貨物船運行が実現すれば有人の貨物船より速く安全で安価な運用が可能になる。一般に大型貨物船には、船長や航海士、機関士、調理員など20名前後の船員が搭乗することが多いとされる。船員の人件費は、船舶管理費の半分弱と大きな割合を占め、無人船実現により、コスト削減及び船員の居住空間としてのスペースも貨物積載に充てられる。同コンソーシアムはこの自律貨物船運行の技術に数億ドルの資金を投じる見込みで、2025年を目処に船舶への実装に向けた準備を整えたいとしている。

 こうした自律貨物船運行の社会実装への取り組みについては、海外でも同様の動きがみられる。ブルームバーグによれば、世界の2大採掘企業であるBHPビリトンとリオ・ティントの両社が自律貨物船の導入に関心を示しているとのこと。両社は、今後10年間に何百万トンという鉄鉱石や銅、石炭を世界中に輸送する。自動貨物船を導入することで鉄鉱石市場だけで年間860億ドルものコスト削減が見込まれている。また、エンジン開発を手掛けるロールス・ロイスは、乗組員を1人も乗せない自律貨物船の開発を進めており、2035年までの実用化を想定している。

 自律貨物船の実現には気象条件、海上の運行状況などのデータを取得するIoTセンサーと、これを分析し効率的な航路を決定する人工知能の技術が欠かせない。また、陸上にデータを絶え間なく送るための衛星インターネット網の整備も重要となる。海上のインターネット接続環境は、今後10年ほどで変革が進むと見込まれており、英国の大手衛星通信事業者インマルサットが2016年3月に船舶向けの高速通信サービスを開始したほか、宇宙開発ベンチャーのスペースXが地球全体を覆う通信網構築を進めている。自律貨物船運行が実現により、長らく続く海運不況からの脱出が期待される。(編集担当:久保田雄城)

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