FRB高官の講演内容からドル買い加速、6月20日ドル円為替

2017年6月20日 09:38

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ドル高が強まっている。6月19日8:00(すべて日本時間)ごろには1ドル110円78銭であったが、21:30ごろから急激に上がり始め、日付の変わった20日9:00ごろには1ドル111円78銭の上値をつけた。このドル買いの材料になったのが、FRB高官の発言である。

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 今週は多くのFRB高官の講演が予定されている。そんな中、19日21:00からダドリー・ニューヨーク連銀総裁の講演が始まった。FOMC発表後、さらなる追加利上げやバランスシート開始のタイミングに注目が集まっており、FRB高官のコメントは重要視される。ダドリー・ニューヨーク連銀総裁のコメントが報道されるたびに為替相場は変動していた。タカ派にも係わらず「インフレはやや下回っている」という内容から講演が始まり、警戒感からドルが売られた。しかし、その後は「景気拡大はまだ長期間続く」「数年で賃金は3%上昇する予想」という前向きな発言が相次ぎ、さらに「まだ充分に金融環境を引き締めなければならない」と、追加利上げを匂わせると市場はドル買いにシフトチェンジ。リスクオフの状態になった。

 20日7:00からはハト派寄りのエバンス・シカゴ連銀総裁の講演が始まったが、その内容は意外にもタカ派寄りでドル買いに拍車をかけている。「年内のバランスシート開始が自然である」「米国経済は完全雇用に戻った」「次の利上げは先送りするが、それが12月という公算である」ことなどに触れている。今後、1ドル112円台までドルを戻せるのかどうか、市場は固唾を飲んで期待しながら見守っていることだろう。

 本日はさらに16:15からフィッシャーFRB副議長、21:15からローゼングレン・ボストン連銀総裁、日付が変わって6月21日4:00にはカプラン・ダラス連銀総裁の講演と続いていく。FRB高官たちが同じような意見でまとまると、ドル買いの材料としてはとても大きなものになる。もちろん追加利上げのためには米国の好調な経済状況も必須であり、経済指標からも目が離せない。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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