新しく変わる大学入試試験 受験生や中学生の正直な思いは?

2017年6月16日 09:21

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現行センター試験への満足度は?(パンタグラフの発表資料より)

現行センター試験への満足度は?(パンタグラフの発表資料より)[写真拡大]

 既に多くの人が知っていると思うが、大学入試制度に関して、現在のセンター入試が廃止され2020年度から新しい試験制度「大学入学共通テスト(仮称)」が実施される。試験日はセンター試験と同様、1月中旬の2日間。改革の背景には、現行の大学入試が知識の暗記・再生に重点が置かれ、「思考力・判断力・表現力」など、「学力」を十分に育成・評価できていないという観点があるようだ。

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 インターネットサービスを行っているパンタグラフは、自社運営する受験生応援サイト「受験のミカタ」閲覧者約250名を対象に、文部科学省が2020年度から改訂を予定している「大学入試共通テスト(仮称)」についてのアンケート調査を実施した。

 今回の調査結果では学生たちからは現行のセンター試験に対して、満足している人は183人と全体の73.5%、満足していない人は47人で全体の18.9%だった。つまり、7割以上の学生たちは現在の入試制度に肯定的だった。特に、来年受験を控える高3生のうち「満足している」と回答した人は、83.8%と全学年の中で最も高い結果だった。

 2020年度に受験を控える将来の受験生、現在の中学生たちはどう考えているのか?「暗記した知識だけではなく、思考力・判断力・表現力も評価されるような試験を実施すべきだと考えている」と回答した人は63.8%、「実施すべきだとは考えていない」と回答した人は29.8%となっており、新しい試験制度に賛成、受け入れる人が多かった。

 入試改革の背景にはAI(人工知能)の発達もある。そこで、「ロボットの発達による将来の就職への不安はあるか」という質問に対しては、2020年度以降に受験を控える中学生は約7割が不安を感じていた。一方で、「人がやらなくていいことを人工知能がやってくれるのは大変ありがたいこと」「人間がやれるもの、やりたいと思う人がいる仕事をやらせるのはNG。逆に、ロボットにどんな仕事を任せるか人間次第」などといった前向きな意見も目立った。

 ニュースや新聞報道メディアなどで取り上げられることが多いAI。将来無くなる仕事ランキングなどセンセーショナルなタイトルがつけられることが多く、AIに危機感を募らせる人も多いと思う。中学生も自身の将来・未来とAIの関係には敏感だった。AIには任せられない・できない部分・スキルは「クリエイティブ」「リーダーシップ」「起業家」と言われている。新しい試験制度で、この3つのスキルが身に付きやすくなることを願いたい。また学生に限らず、ビジネスパーソンも、明るい未来を一歩先行くには、この3つのスキルをより一層磨く必要があるのではないだろうか。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る

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