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米国は政治不安が後退、英国は与党過半数割れ 6月9日のドル円為替
とりあえず最悪のシナリオは回避できたということだろう。米国ではコミー前FBI長官の公聴会、英国では総選挙、さらに欧州中央銀行(ECB)の定例理事会と重要イベントが重なった6月8日であったが、大きな混乱はなかったといえるだろう。
6月8日21:30から22:00(すべて日本時間)にかけて、ドラギECB総裁のコメントが発表された。政策金利については事前の予想どおりに最低水準で据え置きされた。追加利下げについては文言を削除、しかしインフレには改善が見られないとのことからインフレ予測については下方修正している。ユーロが売られることになったが、同時期に発表された米国の前週分の新規失業保険申請件数が24.5万件と事前予想の24.0万件よりも悪い状態だったことから、リスク回避のため1ドル109円94銭までドルも売られた。
一方でコミー氏の公聴会の証言が、大統領への批判はあったものの、「トランプ大統領から選挙調査中止の命令は受けていない」という内容であったことから市場の警戒感は後退している。ただしこれでロシゲート疑惑が解明されたわけではない。今後、この問題がどのように進展していくのかは引き続き注目していかなければならないだろう。
残りは英国の総選挙だが、こちらは出口調査の結果が650議席のうち与党である保守党が314議席獲得と過半数割れが予想されていた。6月9日14:00の段階には予想ではなく、確定という報道がされた。メイ首相の退陣も予想される事態になったが、15:30の英BBCが報じたところによると辞任の意向はないらしい。これによりポンド売りの傾向は強まった。
政権にとってみれば米国と英国ではやや対照的な結果になっている。15:30以降はドル買いの動きが盛んになっており、1ドル110円13銭から1ドル110円47銭までドル高の状況だ。
中東情勢ではサウジアラビアとカタールから目が離せない状態だ。こちらの地政学リスクは依然として高い。かなりネガティブな予想もされていた6月8日だっただけにひとまずは一安心の週末を迎えられそうである。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る)
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