自殺死亡率、日本はワースト6位

2017年6月1日 07:34

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記事提供元:エコノミックニュース

厚労省の分析によると、人口10万人あたりの自殺者数の割合を示す自殺死亡率が日本は世界でワースト6位であることがわかった。2000年代前半のピーク時と比較すると自殺者数自体は減ったものの、国際水準でみると依然として自殺率は高い。

厚労省の分析によると、人口10万人あたりの自殺者数の割合を示す自殺死亡率が日本は世界でワースト6位であることがわかった。2000年代前半のピーク時と比較すると自殺者数自体は減ったものの、国際水準でみると依然として自殺率は高い。[写真拡大]

 人口10万人あたりの自殺者数の割合を示す自殺死亡率を世界各国の水準と比較すると、日本はワースト6位になることが厚生労働省の分析でわかった。下院に閣議決定される『自殺対策白書』で公表される。

 自殺死亡率は統計の信頼性や更新頻度が国によって異なるので、比較するのが難しく、WHOが発行する『世界自殺リポート』でも順位付けはなされていないが、厚労省はWHOのデータから2013年以降の人口と自殺者数が把握できる範囲で上位国を選んだ。

 自殺率が最も高い国はリトアニアで30.8、次いで韓国が28.5、スリナムは24.2。日本はワースト6位で19.5であった。アジアの中では韓国に次いで高い結果となった。男女別で見ると、男性は27.7で世界ワースト12位、女性は11.7で韓国、スリナムに次いで3位となった。特に各国と比較すると女性の自殺率が高いという傾向がある。

 ちなみに、日本における自殺者数自体は減少しており、16年度の自殺者数は2万1764人で、ピーク時の03年の3万4427人と比較すると1万2000万人も減少しているが、依然として世界水準でみれば日本の自殺率は高い傾向にある。

 昨年発行された『自殺対策白書』によると、自殺の原因で最も多いのが「健康問題(病気)」で、次いで「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」という順番だった。特に90年代後半から2000年代前半まで、「経済・生活問題」での自殺者が急増したことによって、全体の自殺者数が押し上げられていたが、10年以降は「経済・生活問題」の自殺者が減少したことによって、自殺者数全体も減少している。

また、年代別の死因をみてみると、15~34歳の若い世代で最も多い死因が自殺となっていて、これは先進国で日本だけだという。特に中高年の自殺者数は減少しているもの、若年層の減少幅が小さく、若年層の自殺防止が今後の課題とされている。

 特に昨今は職場でのパワハラや過重労働、あるいは学校でいじめを苦にした自殺が報道されている。厚労省は1人で悩まないよう、まずは「こころの健康相談統一ダイアル」など、相談窓口に相談してほしいと呼び掛けている。(編集担当:久保田雄城)

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