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デリバリー事業の構造改革で労働環境を改善するヤマト運輸
宅配便が抱えている大きな問題は再配達。ドライバー負担と同時にトラックの走行距離が伸びるためCO2排出量も増加。ヤマト運輸は会員登録したクロネコメンバーズに向けて宅配便を近くのロッカーで受け取る「ロッカー受取りサービス」を開始、再配達削減を図る。[写真拡大]
ヤマトホールディングス<9064>は中核企業となるヤマト運輸の持続的成長と収益力強化によって企業価値を向上させるための2017年度「デリバリー事業の構造改革」を発表した。
構造改革の背景にあるのはデリバリー事業を取り巻く経営環境の変化。宅急便取扱量の増加が想定を上回っていることに加えて人件費の高騰や社会保険適用範囲の拡大などコスト面での費用増大などによって事業の持続的成長が困難と判断されたことが構造改革実施の要因となった。
構造改革の内容は社員の労働環境の改善と整備、宅急便ネットワーク全体の最適化、宅急便の総量コントロールなど 5点。なかでも社員の労働環境の改善と整備は多岐に渡っている。
労働時間の管理を入退館管理に一本化、顧客からセールスドライバーにかかる直通電話を昼の休憩時間と午後7時以降はサービスセンターに転送する。また社員の長時間労働の一因となっていた配達時間の指定枠を見直し、「20時から21時」を「19時から21時」の2時間枠に変更、また担当区分も6区分から5区分に削減する。
ヤマト運輸はこれまでにも労働時間の目標は段階的に引き下げられていた。しかし、その労働時間目標に対して想定外だったのが荷物取扱数。16年度は過去最高を記録した15年度の約8パーセント増、約18億7,000万個となる見通しだ。
この状況を受けてヤマト運輸は大手法人との契約を見直して17年度の取扱荷物数を8,000万個減らすと同時にヤマトホールディングスのグループ従業員を9,200人増やす方針。17年度に比べて163億円増加する社員給料は9月をめどに実施する宅配便の基本運賃値上げを原資にする。
宅配便取扱個数では第2位となる佐川急便、第3位の日本郵便ともに一般ユーザーが利用する基本料金に関しては値上げに言及していない。しかし法人料金は取引先の個数や自社の経営状況、さらに市場の状況によって相対的に決めている。
ヤマト運輸が構造改革で打ち出した社員の労働環境の改善と整備は宅配業界全体が抱えている問題だけに、他社も法人料金の改定を見直す可能性は十分にある。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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