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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆手探り地合いが続く◆
*09:40JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆手探り地合いが続く◆
〇トランプ政策に懐疑的、手探り地合い〇
結局、オバマケア代替案は取り下げとなった。トランプ大統領は「次は税制改革」と述べたが、オバマケア見直しによる歳出削減を減税財源に充てる方向だったので、早くも「不十分な減税策」が取り沙汰されている。オバマ前大統領が申請を却下していた、カナダから米国に原油を運ぶキーストンXLパイプラインの建設を認可したが、インパクトは弱い。トランプ政権の立て直し、市場の信認回復策に注目することになろう。
ただ、取り下げでもう一段、株価が急落する事態にはならなかった。先週火曜日の急落には「多くの容疑者がいる」との指摘が出ている。例えば、そもそも昨年10月以降、調整らしき調整がなく、調整がいつ起こってもおかしくない状況だった、欧州情勢や東アジアの不透明感がある、FRBの利上げ方針がボデーブローのように効いた、日本の年度末やヘッジファンド閉鎖(最大規模のイートン・パークCMの閉鎖などが報じられた)などポジション調整が行われ易い局面など。トランプ政策に関しても、そもそも複雑で難題のオバマケア見直しを先行させたことが間違いだったとの意見が出ている。結局、乗客全員が何らかの役目を果たした犯人で、「オリエント急行殺人事件」との揶揄が出ている。その心は、今のところ犠牲による損害は極めて限定的と言うことであろう。
今週は29日の配当権利落ちから新年度相場に入る。配当落ち分は日経平均で130円ほどと見られ、即日埋めるかどうかで強弱の感触となる。先行き不透明感の強い地合いが続くと見込まれ、個別物色中心の展開が想定される。噂の域を出ないが、「森友問題」の混乱で一部外資系に売り仕掛けの動きがあったが、早々と手仕舞ったと言われる。全体の動きはやはり為替動向を睨みながらの上下変動と考えられる。ドル円は110円の攻防を余儀なくされているが、ドル円110円×ドル建て日経平均170ドル=18700円が下値許容範囲、その場合は早期に19000円台回復が求められよう。
個別には、1)配当落ち後から早くも来期業績動向を睨みながら増配余地のある銘柄を探す、2)4月から多くの合併案件が始動するなど、新年度の企業戦略が活発化する、3)27日で予算が成立、政府の成長戦略も活発化する、4)既に東芝のWH破産法申請、東電の経営刷新(日立から川村会長と言うことで東芝離れが加速)が報じられ、障害案件打開の動きが加速、などが焦点と考えられる。ただし、米国でユーチューブの広告戦略が暗転(過激派動画問題で有力広告主離れが加速)、日本でもスポーツ映像配信DAZNが混乱している、米配車大手ウーバーが自動運転車で衝突事故を起こし試験停止、マサチューセッツ州で自動運転車走行に課税の動きが表面化、など新ビジネス材料に悪材料も出ている。選別の動きが出て来るものと思われる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/3/27号)《WA》
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