NYの視点:FOMCタカ派姿勢強めず

2017年3月16日 07:27

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記事提供元:フィスコ

*07:27JST NYの視点:FOMCタカ派姿勢強めず
米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り0.25%の利上げに踏み切った。過去10年間で3回目の利上げとなる。今後の金利軌道を予想するために注目されていたスタッフの金利予測の中間値は前回12月時と変わらずだった。2017年はあと2回の利上げを予想していることが明らかになった。市場の一部では金利見通しが年4回に引き上げられるとの楽観的な見方が広がっていたが、FOMCメンバーは緩やかな利上げを続ける慎重な姿勢を維持した。イエレン議長は会合後の会見で、年3回の利上げは「緩やかなペース」に相当すると言及。声明では米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が金利据え置きを主張し利上げに反対票を投じたことも明らかになり、ハト派寄りと捉えられている。

一方、前回声明の「経済は緩やかなペースでの利上げのみ正当化する展開を予想」の「only のみ」の文言が削除され、「経済は緩やかな利上げが正当化される」に修正された。また、ビジネス投資の判断も「依然低迷」から「いくらか強まった」に、上方修正された。インフレ判断では前回声明の「ここ数四半期で上昇したが、依然長期目標の2%を下回る」⇒「目標に近づいた」に上方修正し、かわりに、コアインフレに関して、「ほぼ変わらずで依然2%を下回っている」と加えたことなどは、タカ派的ともとれる。

また、金利予測で中間値は12月から変わらずだったが、2017年の利上げを3回かそれ以上と見ているメンバーが前回の11人から14人に増えたこともタカ派的。4回以上の利上げ予想は5名で12月と同じだった。

現状で1-3月期の国内総生産(GDP)の成長率見通しは0.9%。伸びは低調ながら、金融危機以降、毎年第1四半期のGDPの伸びはその年の最低に伸びにとどまる傾向が見られる。ここ最近の第1四半期の成長ペースに比べると、「強いほうだ」との見方。イエレンFRB議長を初め、トランプ政権による政策に関して、「不透明性が強い」との見方を依然、維持していることが確認された。これ以上の利上げペース加速も新政権の政策実行が決め手となる。現状ではドルの上昇も引き続き限定的となりそうだ。


FOMC

■ハト派要素

*スタッフ予測で金利見通しの中間値は前回12月時と変わらず。2017年はあと2回の利上げを予想していることが明らかになった。

*米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が金利据え置きを主張し利上げに反対票を投じた。


■タカ派要素

*前回声明の「経済は緩やかなペースでの利上げのみ正当化する」の「onlyのみ」の文言を削除

*インフレ判断で前回声明の「ここ数四半期で上昇も依然長期目標の2%を下回る」
⇒「目標に近づいた」に上方修正。

*ビジネス投資判断で「依然低迷」から「いくらか強まった」に、上方修正。

*2017年の利上げを3回かそれ以上と見ているメンバーが前回の11人から14人に増加《SK》

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