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政府想定「毎時0.23μSvの空間線量=1年間の被曝線量で1mSv」は実体と乖離
masakun 曰く、 このほど朝日新聞 WEBRONZA に東京大学早野龍五教授へのインタビュー記事「福島の放射線の量を正しく理解してほしい」が掲載されました。福島県伊達市の放射線量と住民の被曝の関係について論じた最新の早野論文から、福島原発事故後に政府が提示した「1時間あたり 0.23マイクロシーベルト(0.23μSv/h)」という除染基準について、「1時間あたり0.23マイクロシーベルト(0.23μSv/h)の空間線量がある地域で生活しても、年間の追加被曝線量は1ミリシーベルト(1mSv)に達しないこと」が関係者に衝撃を与えているそうです(第1論文)。
そういえば伊達市のガラスバッジについて、かつて週刊朝日がスクープとして「個人線量計が最大4割低く表示」福島県内の子供が危ない!」を掲載していましたが、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏に同調する側の意見も聞いてみたいものですね。また一連の議論が分かりにくい方は、除染に関する有識者との意見交換会(平成26年6月15日)にある資料4-2「伊達市の除染について」(PDF)が助けになるかもしれません。
福島県北部の伊達市では、2011年8月から外部被曝線量を測定できる「ガラスバッジ」を市民に配布して測定を行っている(放射能対策 vol.11)。ここから得られた外部被曝線量に関する情報と、原子力規制委員会による航空機モニタリングで得られた空間線量を元にデータ分析を行ったところ、「1時間あたり0.23マイクロシーベルト(0.23μSv/h)の空間線量がある地域で生活しても、年間の追加被曝線量は1ミリシーベルト(1mSv)に達しない」という結論になったそうだ。これは、政府による「毎時0.23マイクロシーベルトという空間線量は外部被曝線量に換算すると年間1ミリシーベルトになる」(環境省による「追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方」文書PDF)主張とは異なるものとなっている。
また、個人線量と空間線量の関係性を調べた別の研究データでも、同様の蛍光が見られたという(Isotope News 2015年11月号掲載論文「個人線量と空間線量、行動パターンとの関係─実測データから解析すると─」)。
早野氏は原発事故による放射能の影響は時間が経つにつれて小さくなるというデータも論文にまとめている。これらも合わせて、「多大な予算をかけて進められる除染作業の効果」への疑問も投げかけられている。
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