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自殺者数6年連続で減少、22年ぶりに2万2000人下回る
警察庁と厚生労働省によると2016年の全国の自殺者数は2万1764人で、6年連続で減少。ピークであった03年の3万4427と比較すると大幅に減少しているものの、自殺率は諸外国と比較すると依然として高い。[写真拡大]
警察庁と厚生労働省によると2016年の全国の自殺者数は15年と比べて2261人減少し、2万1764人であった。自殺者数は6年連続で減少しており、22年ぶりに2万2000人を下回った。男性が1万5017人、女性が6747人だった。
動機は健康問題が1万63人、経済・生活問題が3234人、家庭問題が3053人、勤務問題が1839人という結果になった。健康問題については前年と比較すると1128人減少しており、厚労省自殺対策推進室は「かかりつけ医らによる、うつ病患者の早期発見・治療につなげる対策の結果がでているのではないか」と分析している。
経済・生活問題では539人減少という結果となった。昨年11月には有効求人倍率1.41倍と、25年ぶりの高水準、失業率も3.1%と21年ぶりの低い水準を維持しており、雇用情勢の改善も自殺者数の減少に繋がったと思われる。
年齢別では40歳代が3442人と最も多く、次いで50歳代が3345人、60歳代が3323人という結果となった。働き盛りであると同時に、健康上の問題も表面化する年代であることが要因だろうか。
警察庁が自殺者数の統計を取り始めたのは1978年。97年までは年間2万人~2万5千人を推移していたが年々増加傾向にあり、98年からは3万人を超え、以降14年間の自殺者は3万人台を記録していた。過去最も自殺者が多かったのは03年の3万4427人であったので、ピーク時と比較すると1万2000人も減少しているので喜ばしい傾向ではあるが、諸外国と比較するとまだまだ自殺率は大きい。
15年の10万人あたりの自殺率は日本が18.5%。韓国が28.9%と日本より多いが、米国は12.1%、中国が7.8%、イギリスが6.2%と先進国の中では自殺率が高い傾向にある。
雇用情勢は改善しているものの、パワハラや長時間労働といった問題は後を絶たない。学校におけるいじめ問題もよくニュースになっている。年金を始め老後の生活の見通しも立てにくい情勢でもある。働き方の改善や、社会保障の充実が真の自殺防止に繋がるのでないだろうか。(編集担当:久保田雄城)
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