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VRで足裏感覚を拡張「振動スリッパ」、歩行安定やアスリートの技術強化
筑波大学、橋本悠希助教らが開発した振動スリッパでは、爪に振動子を当てると反対側の指の腹側で触覚を感じる現象を利用する。同デバイスの装着で新雪を踏み抜く感覚を表現することや、歩行中の重心のブレを抑えることも可能とのこと。[写真拡大]
視覚に関するVR技術が目覚ましい進歩をとげるなか、触覚分野でも研究・開発が盛んに行われており、たとえば、VRにより足裏の触覚を再現するこころみもそのひとつだ。筑波大学・橋本悠希助教らが開発した振動スリッパでは、爪に振動子を当てると反対側の指の腹側で触覚を感じる現象を利用する。同デバイスの装着で新雪を踏み抜く感覚を表現することや、歩行中の重心のブレを抑えることも可能とのこと。同デバイスは、靴に装着するタイプの高齢者向けの歩行安定化を目的として開発を進める計画。さらには、マラソンでのピッチ走法や自転車競技でのペダルを踏み込むタイミング等の教育デバイスとしても応用を模索する。
VR空間での触覚を再現する目的での開発も盛んだ。大阪大学、黒田嘉宏准教授らは、VR空間での歩行感覚を再現する目的で足駆動装置「ハプステップ」を開発した。同デバイスでは、足を置いた板を前後にスライドさせることで、床を蹴り出す感覚、踏みとどまる感覚などが表現できる。足を上下させずに、水平移動だけで表現するため、駆動モーターを小型化できるとのこと。
触覚を再現するVR/ARは、近年企業や研究機関が熱い視線を注ぐ分野で、次々と高度な再現力を持つデバイスが発表されている。中国のスタートアップDexta Roboticsの「Dexmo」ではグローブ型外骨格デバイスを装着することで振動や電極を使用するフィードバックとは違うアプローチで、VR空間でオブジェクトの大きさ、形状、剛性を感じることができる。米国のスタートアップAxonVRはリアルなVR触覚テクノロジー「HaptX」の開発を目的として約6億8000万円の資金調達を完了している。HaptXは、無数のモーターを使って、手に圧力や熱を発生させることで、繊細な触覚を再現することが可能となる技術。
VRによる足裏や手の触覚の再現はVR空間の体験をリアルにし、娯楽を追求する目的でも活用されるが、高齢者や障がい者の感覚の補助や、スポーツ選手や医療従事者へのトレーニングなど、より実用的な用途での活用が見込まれ、技術の進展が期待される。(編集担当:久保田雄城)
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